雷門の転校生は天才万能少女 (ページ7)

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６話　秋葉名戸戦ページ7

今日は秋葉名戸中との対戦当日。ボクは精神が逝っていた。理由なんて簡単だ。メイド服を着せられた。２回目だよ？ボク死んじゃうよ？

事の始まりは数分前。

「これを私に着ろと？」

夏未嬢が、頬を引つらせながら言う。

「当校に置いての試合では、マネージャーは全員メイド服着用となっております」

『へぇ……誰が決めたの？』

「店長、いえ監督が」

笑顔を絶やさずスイカを貪るオジサンを指して答えるメイドさん。

『あれ、監督だったんだ。変人だと思った』

「お前も負けず劣らず変な格好だけどな」

『意外に着心地良いんだよこれ。ボクのお気に入り』

フード付きのパーカーを指差して、ニコニコ笑う。

「宇生賀谷さん！見てないで助けなさい！」

『夏未嬢、本当にごめんね───ボクも、大勢相手に立ち向かう勇気はないんだ』

酷く残酷な言葉だったと思う。巻添えはヤダ。それになんだか圧が怖い。ヒヤリ、背後に悪寒が走った。

『嫌な予感がするんだけど気のせいかなぁ？！気のせいであってくれ』

「貴女もです！さぁ！行きましょう！」

『ちょっと？！』

「嫌です」

そして現在に至る。ボクは何してるか？豪炎寺の隣でのんびり試合観戦中だよ。ふりふりのひらひらのお洋服、すっごい恥ずかしい。

試合は秋葉名戸が前半特に動くことなく進められた。まあ当然かもしれないけど、後半になってフルで動いてきた。

結果は雷門の勝利。皆飛び跳ねて喜んでいた。ボクも少し頬が緩む。あの時の昂りが戻ってくる。あとこの服脱げて嬉しい。

『皆に早く会いたいなぁ』

この間、帝国学園っていうところの皆とも仲良くなった。特に源田、鬼道、佐久間の三人。影山さんとは帝国経由でサッカーについて語る仲になった。

影山さんからは、時々帝国サッカー部一軍メンバーの写真が送られてくる。稀に輝のも。輝って言うのは影山さんの甥っ子。影山さん甥っ子大好きだから。

ボクは小さい子の扱いは慣れてるから、輝の世話係としてよく帝国に呼ばれる。

あと、照美って人とも。外出先で偶然会って仲良くなった。気が合うし一緒にいて安心するから。

[ピロリ〜]

電話の着信音が鳴る。誰だ？人気の無いところに行って出る。

[もしもし、Aおねーちゃんですか？ひーくんです]

なんか嬉しそう。良い事あったのかな？

『どうしたの？輝』

[あのね、おいちゃんが来てだって。ひーくんも会いたいから、早く来て！]

学校に戻る皆に短く用が出来たと伝え、影山邸に向かう。