39 不機嫌な男 ページ40
支度が出来ると春くんは待ちくたびれていた様子で少しだけ苛立っているように見えた。その態度は如何なものかと私もつられて苛立ち、ムスッとしてしまう。
「春くん、怒ってんの？」
「そういうお前も怒ってんじゃねえか。」
「……春くんがイライラしてるからでしょ。」
「Aが支度遅いからだろ。」
1時間もまだ経ってないですけど。待つのが嫌なら私の事誘わずにゆっくり寝かせてくれれば良かったのに。気づけば文句ばかりが胸中に溢れていた。
「誰かさんの所為で身体重たいんだから時間かかったのくらい怒んないでよ。」
嫌味を言えば、切れて言い返してくると思っていたが、春くんは驚いた顔を見せたかと思えばニヤニヤと不気味な笑みを浮かべていた。
「俺の所為か〜〜、そりゃ悪かったわ。」
私の後ろに回って、両手を伸ばして腹部より下を摩る。
「俺のが、ココに入ってたんだもんなぁ。しんどかったよなぁ。身体、大丈夫かぁ？」
わざとらしく言う彼。……彼は無意識に私を振り回す天才だと本当に思う。少しは私を困らせている自覚をしてほしいものだ。
「……早く行くんでしょ。」
「行くか、お姫様♡」
完全に面白がっている彼を無視して玄関へと向かい、靴を履く私。平然を装っているけれど、内心はかなり心臓がバクバクと鳴って煩かった。これってデートみたいで浮ついた気持ちが私の理性を崩して邪魔しようとしている。全ては彼の気まぐれに過ぎないと知りながら。
玄関の扉を開けると私に行き先を伝える事もなくタクシーを捕まえてスマホの画面を運転手に見せて車を走らせた。
「似合ってんじゃん？」
春くんの我儘により強制連行されて連れまわされている。某ブランド店を梯子して、あれこれ「着ろ」と言われるがまま色んな服を試着していた。
「……春くん、何企んでるの？」
「何も企んでねえよ。俺からのプレゼント♡」
そのプレゼントの金額が金額なので、尚更怖い。何を企んでいるの？というレベルだ。それに、やたら露出の高いドレスのようなものを着させられている。
服が高価な物すぎて私が服を着ているのはなく、服が私を着ている……そんな感じだった。それに……試着するたび鏡に映る自分の身体を見るたびにチラつくキスマーク。店員さんも困惑しながらも頬を微かに染めて私に「とてもお似合いですよ」と世辞を投げてくれていて、尚更いたたまれない。
デートというよりも彼の着せ替え人形と化している私であった。
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モック - 完結おめでとうございます！物語中の春千夜君がかなりヤバくて(語彙力www)最高でした！ 応援してます！ (2022年9月24日 10時) (
レス) @page50 id: 17f5259717 (このIDを非表示/違反報告)
さきな。(プロフ) - 来夢さん» コメントありがとうございます！本当に嬉しいお言葉ありがとうございます。大変恐縮です……！これからも面白いと思って頂ける作品が書けたらと思います！ (2022年2月19日 0時) (レス) id: 74c94643cf (このIDを非表示/違反報告)
来夢(プロフ) - 完結おめでとうございます、そしてお疲れ様でした🙇♂とても最高でした！私にはこんな神作作れないので羨ましい限りです😭あ、作者様の春千夜くんドタイプでした！これからもずっと応援させて頂きますので、よろしくお願い致します🤲 (2022年2月15日 3時) (レス) id: e2197c2b6d (このIDを非表示/違反報告)
さきな。(プロフ) - 楸さん» コメントありがとうございます。自分にとっても楽しくかけた小説でした♪スランプに陥って書いては消してを繰り返しておりますが、自分の納得した作品が出来て書き続けられたらまた別作品を見ていただけたらと思います。 (2022年2月14日 1時) (レス) id: 74c94643cf (このIDを非表示/違反報告)
楸(プロフ) - 完結おめでとうございます！！マジで最後の方はあ゛あ゛泣って感じで一人で焦ってたんですけど、あらぁ！！って終わり方でもう兎に角大好きです！！語彙力が行方不明になるくらい素敵な作品ありがとうございました！！ (2022年2月14日 1時) (レス) id: 94f21122e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さきな。
| 作成日時：2021年12月12日 0時
