20 頼れない ページ21
結局強い押しに負けてランチを奢ってもらい、向かい合って食べる事になった。相原さんは同期で真面目だし仕事もできる。それに性格も顔も良いから女子社員からも密かな人気を集めているのだが、当の本人はそれに全く気付いていないようだ。
相原さんのファン兼片思い中の女子社員が多いのは頷ける。それくらいに私も彼を信頼していた。でも、相原さんは女性に興味がないというか仕事に熱中しすぎててそれどころじゃないというか……といった感じで浮ついた話は一切聞かない。
もしかしたらプライベートは誰にも明かされないように上手い事やっているだけなのかもしれないけれど。
「東雲さん。」
「はい。」
「大変だった後にこんなに仕事回されて疲れたでしょ?もし俺に回せる仕事あったら手伝うから。」
……サラッとこういう事を言えるのがモテる秘訣の1つなのかもしれない。少なからず私のデスクにいる男性陣はそんな事絶対に言ってくれない。
正直に言えば、彼等に仕事を任せたところで私の方が早く仕事を終わらせてしまうのが目に見えているからだとは思うけれど。
「ありがとう。でも大丈夫。このままいけば定時までには余裕で終わりそうだから。」
「流石、東雲さん。でも俺、ちょっと心配だな。東雲さんすぐに無理するから。誰かに頼ってもいいと思うよ?」
私の弱点であり、欠点だ。人に頼る事が昔から苦手な私は自分で何でも抱え込んで自分の首を絞めてしまう。苦しい、助けてと言う前に自分で何とかした方が早いと思って動いてみると、何とかなってしまっていたから頼る事を知らない。
そんな私の欠点を優しく包み込んでくれるような言い方で頼る事を覚えろと遠回しに指摘してくれる彼は本当に優しいと思う。でも、私は大丈夫。そのスタンスで数年やってきてしまった以上、自分のプライドにも反してしまう、そんなような気がしているのだ。
「本当に困ったら、誰かに頼ります。ありがとうございます。」
その後、相原さんとは他愛もない話をしてランチを終えた。
仕事に戻り、頼まれていた仕事を再びこなすためにPCと睨めっこをして指先を動かした。集中はしているものの、次のプロジェクトの計画を頭の中で考えながら打ち込んでいく。
でも、次のプロジェクトでは個人的にあまり関わりたくない。某会社の契約を結んだ際にその責任者がセクハラ発言多発だったからだ。
あー……次のプロジェクトの事なんて考えなきゃ良かった。
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モック - 完結おめでとうございます!物語中の春千夜君がかなりヤバくて(語彙力www)最高でした! 応援してます! (2022年9月24日 10時) (レス) @page50 id: 17f5259717 (このIDを非表示/違反報告)
さきな。(プロフ) - 来夢さん» コメントありがとうございます!本当に嬉しいお言葉ありがとうございます。大変恐縮です……!これからも面白いと思って頂ける作品が書けたらと思います! (2022年2月19日 0時) (レス) id: 74c94643cf (このIDを非表示/違反報告)
来夢(プロフ) - 完結おめでとうございます、そしてお疲れ様でした🙇♂とても最高でした!私にはこんな神作作れないので羨ましい限りです😭あ、作者様の春千夜くんドタイプでした!これからもずっと応援させて頂きますので、よろしくお願い致します🤲 (2022年2月15日 3時) (レス) id: e2197c2b6d (このIDを非表示/違反報告)
さきな。(プロフ) - 楸さん» コメントありがとうございます。自分にとっても楽しくかけた小説でした♪スランプに陥って書いては消してを繰り返しておりますが、自分の納得した作品が出来て書き続けられたらまた別作品を見ていただけたらと思います。 (2022年2月14日 1時) (レス) id: 74c94643cf (このIDを非表示/違反報告)
楸(プロフ) - 完結おめでとうございます!!マジで最後の方はあ゛あ゛泣って感じで一人で焦ってたんですけど、あらぁ!!って終わり方でもう兎に角大好きです!!語彙力が行方不明になるくらい素敵な作品ありがとうございました!! (2022年2月14日 1時) (レス) id: 94f21122e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきな。 | 作成日時:2021年12月12日 0時