17 小さな針が、 ページ18
ご飯が出来上がって一緒に食べる頃には互いに無言になり黙々と彼も食べていた。……なんだか上の空で本当に様子がおかしい。私の家を燃やした時もそのくらいの態度でいて欲しかったものだ、と胸中で毒づいていながらも心配にはなる。
「A。」
「……は、はい。」
不意に呼ばれた名前に驚いてワンテンポ返事が遅くなる。微かに憂いを秘めていた彼の表情から急変して真顔になっていた。その変化についていけずに彼の次の言葉を待つ。
「お前、俺が連絡してやったの未読無視してんだろ。」
「え！？あ、あー……見てなかったです。」
はっきりと言えずしどろもどろになっている様子を見て三途さんは表情を歪めていき、あからさまに不快さを示している。
そこまで露骨に嫌な顔しなくてもいいじゃない。友達でもないし、付き合ってもないんだから。私は反社の人達のゴタゴタに巻き込まれた被害者。三途さんは加害者。
……チクリと小さな針が刺さったような感覚に襲われて、なんだか痛い。それが何故なのかわからないけれど。
「今すぐ既読つけろ。」
「えー……。今ご飯食べてるので後でに……。」
「早くしろ。」
「はい、今すぐに。」
面倒だと思いながらもすぐさまスマホを開いて確認した。……しまった、この前腹立って衝動的にトーク欄非表示にしたんだった。三途さんにスタンプか文字か送ってもらわないとトーク欄が表示されないから既読がつけられない。
何とかして既読をつけられるように誘導しないと。
「あの、三途さん。……スタンプか何か送ってもらってもいいですか？」
「あ？スタンプなんて送る訳ねえだろ。」
「トーク欄が見当たらないんです……アプリ、アップデートしちゃったからかなぁ。」
白々しくとぼけてみれば、三途さんは三途さんで面倒くさそうにポケットからスマホを取り出して指で画面をタップしていく。
ピコン、とアプリの通知が鳴り三途さんのトーク欄が1番上にくるとタップして既読をつけた。これまた絶妙に腹立つ言葉を送ってくれたものだ。「アホ面。」とだけ書かれて送られてきていたのだ。……失礼極まりない。
「……既読つけました。」
スマホを再びポケットに入れた三途さんと机の上に置いた私はまたご飯を食べ始めた。少しだけ冷たくなった白米と焼き魚。……だから後でって言ったのに。
再び流れた沈黙に耐え切れず、何か話題を……と思って先程の出来事を話してみた。
「そういえば、さっき灰谷さん達と会いましたよ。」
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モック - 完結おめでとうございます！物語中の春千夜君がかなりヤバくて(語彙力www)最高でした！ 応援してます！ (2022年9月24日 10時) (
レス) @page50 id: 17f5259717 (このIDを非表示/違反報告)
さきな。(プロフ) - 来夢さん» コメントありがとうございます！本当に嬉しいお言葉ありがとうございます。大変恐縮です……！これからも面白いと思って頂ける作品が書けたらと思います！ (2022年2月19日 0時) (レス) id: 74c94643cf (このIDを非表示/違反報告)
来夢(プロフ) - 完結おめでとうございます、そしてお疲れ様でした🙇♂とても最高でした！私にはこんな神作作れないので羨ましい限りです😭あ、作者様の春千夜くんドタイプでした！これからもずっと応援させて頂きますので、よろしくお願い致します🤲 (2022年2月15日 3時) (レス) id: e2197c2b6d (このIDを非表示/違反報告)
さきな。(プロフ) - 楸さん» コメントありがとうございます。自分にとっても楽しくかけた小説でした♪スランプに陥って書いては消してを繰り返しておりますが、自分の納得した作品が出来て書き続けられたらまた別作品を見ていただけたらと思います。 (2022年2月14日 1時) (レス) id: 74c94643cf (このIDを非表示/違反報告)
楸(プロフ) - 完結おめでとうございます！！マジで最後の方はあ゛あ゛泣って感じで一人で焦ってたんですけど、あらぁ！！って終わり方でもう兎に角大好きです！！語彙力が行方不明になるくらい素敵な作品ありがとうございました！！ (2022年2月14日 1時) (レス) id: 94f21122e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さきな。
| 作成日時：2021年12月12日 0時
