E v o k e ( 緑 )

☆３８ ページ38

♡「 か、みちゃん、……… あの、」


私はこの時、何を言いかけたのか

自分でもわからない。


最後まで言い切らなかったのは、

神ちゃんの電話が鳴ったから。

もし、着信音が鳴らなかったら

何を言うつもりだったんだろ。わかんない。



神「 もしもし？… うん、いま？１人。」


電話をしながら、私のほっぺを

むぎゅってつねったり、触ったりして

楽しそうに電話を続けた。



神「 うん、……… そうなん？ うん、」


電話の相手は、一体誰なんだろ。

すごく優しくて、神ちゃんも顔が穏やかで

きっと、大事な人なんだろうなって思った。



神「 ん？わかった、またな。」


名残惜しそうに電話を切って、私の顔を見つめた。

電話の時とは違う。少しだけ、冷たい目。



神「 ２回目、会ったら。」



Aのこと、飼ってやるって話したの

覚えてる？って耳元で言われた。



♡「 … 、う、………… うん。」


神「 特別に、選ばせたる。」


どうしたい？って神ちゃんは笑いながら尋ねた。

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