許嫁を迎えに行きます【2】 (ページ6)

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腕の中にはAがいる。

最近1番この時間が1番好きで少し切ない。

「恋できそう？」って問いかけに
『難しいね』って返すAに安心して、

ついギュッと抱きしめる力が強くなる。

ポンポンって腕を叩きながら

『苦しい』って言う彼女。

愛なんて重けりゃ重いだけいい

愛されないより深く重く愛された方がずっといい。

何も言わずにただ腕を握るA。

『すき…』

「えっっ？A？」

体を離せばぐっすり寝てる彼女。

寝言ですか…？

まー寝言でも…嬉しい…

ただぎゅっと抱きしめながら

彼女の首元に顔を埋めた。

仕事への不安も何もかも

全部癒される。

コンコン

「なに？」

母「ご飯できたよ」

「A！ご飯だって！起きて」

『んんんっー』

「おはよ。Aちゃん」

『寝てた？』

「よだれ垂らしながらね。どんな夢見てたの？」

よだれ垂らしてた？って恥ずかしそうに

口元を触る彼女が可愛い。

「どんな夢見てた？」

『内緒』

そう言いながら伸びをして

立ち上がった。

『ご飯行こ』

「どんな夢みたの？」

『しつこっ！』

ご飯を食べながらどんな夢見てたの？って

母「そんな気になる？笑」

「あたまえでしょ」

俺がAを好きだと言うことは

この家ではもう当たり前のようになっている。

さっきも俺がAを抱きしめていても

驚くことなく素通り。

両親に伝えたときは

そうって。いいこだもんね。ってそれだけだった。

『笑わない？』

「笑わない」

『そっかぁ、で終わってね』

「はいはい」

『北斗君とピクニック行って公園の噴水に落ちる夢』

「かわいい」

母「かわいい？」

「可愛いでしょ」

『可愛くはなくない？』

「可愛いから」

俺の夢見てるだけで可愛いのに
好きって寝言言うなんて…

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