許嫁を迎えに行きます (ページ27)

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『どうして？』

「家出むすめが」

『電話きたの？』

「じじーからね」

『口悪いよ』

久しぶり会う彼女は少し髪が伸びて
大人っぽく見えた。

「寒くね？」

『寒いねぇー』

「帰ろうか」

『うん』

母さんにA連れて帰るって連絡入れた。

俺の少し後ろを彼女はいま歩いてる。

彼女の目線が今どこを向いているのか

彼女の目線の先に俺がいるのか

何を考えているのか

聞きたいけど聞けなくて

モタモタしている間に家に着いた。

母さんがお帰りって俺たちを迎えてくれて

ただいまって言いながら家に入る。

Aに俺の服を渡してそのまま風呂に連れてった。

母「じいちゃんには母さんから連絡したから」

「おどおどしてたんじゃない？」

母「Aちゃんと仲良くしてるって嬉しそうだったよ」

「そう」

母「試験どうだったのかしら」

「聞かない方がいんじゃない？」

母「そーね」

俺の試験も終わってる。

いってもまだ22時過ぎで寝るには早い時間。

Aがお風呂から上がってきた。

ダボダボの洋服にホカホカのAの顔が

真っ赤で寒い外にずっといたから

ちゃんとあったまってよかった。

髪ケアセットとドライヤーを渡して

俺も風呂に向かった。

上がってくると

髪を既に乾かし終えたAと母さんが

一緒にみかんを食べてる。

2人で何やら楽しそうで

ちょっと離れたダイニングテーブルに
座り携帯を触りながら2人の会話に耳を傾ける。

試験の話とか
学校の話とか
友達の話とか

俺には言わないそんな話をしていて

いつのまにかそんなに仲良くなったんだろう。

やっぱり母さんには敵わない。

内心、家出したのは俺に会いたかったから？

だから俺がくるってわかってる

あの公園にいたの？なんて思ったけど

もしかしたら、おれじゃなくて母さんに
会いたかったのかもしれない。

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