六日前 報告 ページ16
「...ということです」
昨日の調査結果を報告しに来た降谷。
「なるほど...久保山さんねえ...」
久保山さんとは、社長の息子...いや、社長も久保山さんなのだけれど。
「確かにあの人は、次期社長に選ばれなくてすごく悔しがっていたな」
それはもう、ものすごく。
「でももし久保山さんが犯人だったとしたら、私に罪をなすりつけた理由は...?」
「あっいやっ、それは...」
何かを言いかけて、言いにくいことなのかわかりやすく動揺した降谷。この人が隠したいことを隠しきれないなんて、一体どんな重大な理由なのか。
「何?君、何か知ってそうだよ」
「...僕は何も知りません。今日はあなたにそれも聞くつもりでしたし」
まあ言いたくないのなら、仕方なく免除ということで。
「...言ってしまえば、私の方があの人のことは苦手だったよ。まだ私が秘書に就く前、久保山さんの下にいたことがあってね」
他の社員なら怒られないようなことでも、私には厳しかった。
資料の提出が遅いだの、言葉遣いがなっていないだの、挙句の果てには必ず自分より先に出勤し、コーヒーを淹れておけだの。
久保山さんの暴君具合をもう必死に降谷に伝えた。もはや証言というより愚痴だ。
「あの人だって私が嫌いだったはず!」
「ははっ...そうかもしれませんねえ」
やはり愚痴のような形になっていたのだろう、話を聞いていた降谷は苦笑い。
「それくらいあからさまに気持ちをぶつけられると、流石に気づいているようですね」
「気づく!?どういうこと!?」
「森川さんと、高田さんは周りからの意識に全然気づいてないって話になったんです」
それは極めて失礼な話題だが、それよりも。
「しっかし本当に麻衣に会ったの...?」
あああ、何か変なこと言われていないか心配だ。とても。切実に。
「もう何回目ですかその質問」
あああ、五回目だよ。
「そろそろ現実を受け入れてください...というか、何か駄目なことでもあるんですか?」
それはまあ、僕が森川さんと会って、っていうことだろうけど。
「うん、大問題だ...あの子変なこと言ってないよね!?」
「変なこと...言ってなかったと思いますが」
「それは透...じゃなかった降谷くん...間違えた」
「いや、どっちも間違いではないですけど...どっちにしても違和感ですね」
本当に。違和感がとてつもなくある。
「降谷の...待って、何を言おうとしたっけ!?」
しっかりしてください...
そんな呟きは聞こえないフリだ。
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かまぼこ板(プロフ) - かなとさん» いつも本当にありがとうございます!これからはまた前のようなペースでやっていきたいと思います、よろしくお願いします! (2016年6月30日 0時) (レス) id: 8b9d5f2ddb (このIDを非表示/違反報告)
かなと(プロフ) - お久しぶりですね。他の方たちもぱったりと更新されなくて寂しかったんですよ。有難う御座いますと此れからも宜しくお願いします。 (2016年6月28日 23時) (レス) id: 5c59d46582 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこ板(プロフ) - かなとさん» 安室さんがこんな感じだったらいいなあという私得な展開でした...!そう言っていただけてよかったです! (2016年6月12日 23時) (レス) id: 8b9d5f2ddb (このIDを非表示/違反報告)
かなと(プロフ) - 安室さんカワ(・∀・)イイ!! (2016年6月12日 0時) (レス) id: 5c59d46582 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこ板(プロフ) - 106さん» コメントありがとうございます!そんなことを言っていただきうれしいです!がんばります! (2016年6月12日 0時) (レス) id: ab8133160c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かまぼこ板 | 作成日時:2016年5月21日 23時