7.好きと無理の ページ8
悶々とした連休を乗り越えて、お出かけ当日。5月の初めとは言え、日射しは強いし、気温も高くなりそうだ。薄着にしておいてよかったかな。
スマホを取り出して、メッセージの通知をチェックした。
"寝間着で行くなよ"。"寝癖直してね"。
…両親なの?
取り敢えず、幸男お父さんには"行くわけないでしょ"、アヤお母さんには"今日は寝癖ついてなかった"と送っておく。
と、そこでこちらに駆け寄ってくる人影に気づいた。
「森山!待ったか!?」
「いやついさっき来たよ」
私服が悔しいくらいにキマっていた。悔しいくらいに今日もかっこよい。
何でこの男がナンパして、誰も引っかからないのよ。
「…じゃあ、入るか」
森山が到着して、デート(仮)がスタートして、私はやっと現実を見た。
…え、これ、今日一日二人きりなの?
それに気づいたら最後、緊張感が高まると共に、ドキドキしてきた。
席を決め、飲み物とポップコーンを買い、劇場に入る、というところまでは取り敢えずスムーズにいった。
…私はもうすでに、随所随所で挙動不審ぶちかましてたけども。
「なあ」
左側の耳元で、森山の声がした。
…映画館の座席って近くない?気のせいかな?この映画館改装した?
「…何?」
「こういうの、好きなのか?」
映画の半券を、指でつまんで私の目の前でひらひらさせた。
今回の映画はホラー。アヤとはよく二人で観に行く。
「好きと無理の中間くらい」
「その2つ元々かけ離れてるだろ」
「うーん、どっちかって言うと好き…?」
ホラー自体は好きだけど、たまにくるびっくりポイントが本当に苦手。実際の生活で驚かしてくる人がいるけど、それも本気でやめて欲しい。
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作者名:かまぼこ板 | 作者ホームページ:
作成日時:2018年5月15日 23時