たまゆら花魁記 〜吉原編〜 【2】

よしわら64 ページ14

ふと眩しく感じる空を見上げると満月が輝いていた………………






『月にでも逃げるつもりか？……………』




廊下の奥から現れたのは大貴だった……………




A
『どこにも逃げるつもりなんてありません

この日をずっと待っていたのですから』





そう………………

私はこの日を待ちわびていた……………




突き出しは花魁への一歩


そして突き出しを迎えれば涼介に……………







大貴
『俺はこの日が来ないことを願ってたけどな……』







A
『なぜそんな…………………』









私のいいかけの言葉は

大貴の口づけで遮られた……………







強引に引き寄せられ大貴の力強い腕から離れる事は出来なかった………………





力一杯抱きしめる大貴の気持ち全身で感じた…………………






大貴
『離したくねぇよ………………』





A
『大貴………………私には………』





大貴
『なんてな………………


お前の夢…………なんだもんな
いい突き出しになるといいな！』





大貴はそう言うと私の背中をぽんっと叩き廊下の奥へと消えていった






私は自分の唇を指で触れた…………………


やはり残る口づけの余韻…………………





私は一息吐き出すと廊下を進み清様の待つ部屋へと向かった……………………

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