key(はじやふ) (ページ2)

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「ようへいくん、お待たせしました～…」

「………」

「きれい…」

「…………あ、え？あ、すみません、ボーッとしてました。何か言いました？」
「え。ううん！何も！？」

慌てふためくはじめくん。オレはそれに対して深く追求はせず、彼の後ろについて1号室に上がった。
ふたりで3階までいき、いつも自分が座っている辺りのテーブルの上を見る。
が、あると思っていた鍵が無い。額にヒヤリ、と冷や汗が滲んだ気がした。

「あれ…？」
「無いの？」
「はい、てっきり此処に置いたと思ってたんで…。すみません、オレ探すんで、ボスは作業に戻って下さい。見つけたらLINE入れます」

付き合わせる訳にはいかないので、戻るよう促す。
しかし、優しいはじめくんはそれに素直に従う筈もなく、一緒に探すと言ってくれた。
ああ、また迷惑かけちゃうな…。

思い当たる場所をくまなく探す。編集部屋や、寝部屋や色々。でも、この物に溢れる空間で、簡単に見つかるはずもなく、グッタリとソファにふたりして座り込んだ。

「…はじめくん、すみません。ほんとに、ここからは僕一人で探すんで、「ようへいくん、こっち見て？」

遮るように言われ、顔を上げると、目の前に見覚えのある鍵が揺れていた。
それは、紛れもなくオレの鍵。黄色のキーカバーが目印。
目を白黒させていると、いたずらにはじめくんが声を上げて笑った。