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「大成功〜」
「え？え？」
「ようへいくんが帰った後、たなっちが気付いて俺に渡してきたんすよ。"鍵が無いドッキリ パート2しましょ"っつって」
「な、んだ〜。あー、もう。よかった…。え、じゃあコレ、撮ってるすか？」
「さすがにソレは無い無い！戻ってくるのは予想外だったし…、それに、」
力が抜けて苦笑いする俺に、いつもより、ワントーン低めの声で、耳元で囁いた。
「こんな時間に2人きりなんだし、ドッキリするには勿体ないじゃん？」
「…は、え、え？」
「ようへいくん、本当にきれいな顔してますよね」
気がつくと、両手を一括りにされ、はじめくんの大きな手で拘束されていた。
状況がイマイチ掴めないオレは、若干力を込めて手を振りほどこうとするが、ビクともしないことに身の危険を感じた。
と、同時に胸の鼓動が次第に速くなっていくのに戸惑いを隠せずにいた。
…危険な予感がするのに、
嫌じゃない…。
大好きなイケメンなはじめくんの顔が、徐々に近付いてくる。
憧れて止まなかった彼。
そんな彼の瞳にオレが映っていること自体が奇跡なのに、何このハプニング。
認めたくなかった感情が、確かなものなんだと気付かされる。
どうしよう、冗談だったら。
どうしよう、笑われたら。
どうしよう、
拒絶されたら。
「嫌じゃ、ないの？」
不安そうな声が問いかけてきた。
ああ、彼も怖いんだ。
不安げに揺れる瞳に、真っ直ぐ見つめて捕らえられた。
お互いの鼻先が触れる距離に来ると、彼の力強い手の拘束がゆっくりと解かれ、優しく頭に回った。
愛しげに髪を撫でられて、
やっと、やっと。
冗談でないことに気付く。
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作者名：みち | 作成日時：2019年9月26日 7時
