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畑に加入して2度目の夏が終わろうとしていた。
帰る道すがら、涼しくなった夜風を受けていたら、ふと、HAPに忘れ物をしていたことに気付く。

…取りに戻ろうか、いや、面倒くさい。でも、明日は休みだしなぁ。

短い試行錯誤の後、踵を返して元来た道を戻っていった。

もうみんな帰ったのか、1号室は真っ暗だった。オレは、ふう、とため息をついた。
何を隠そう、忘れ物とは1号室の鍵。帰宅時は、誰かが閉めてくれるであろうと、鍵を開けたまま出てきてしまったのが運の尽き。

「何で今日に限って、キーケースから外しちゃったんだろ」

ぽつり、と独り言を漏らす。
いつもはキーケースにまとめて付けているHAPの鍵。でも、今日は何の気なしに付け替えていたところに、だいちくんに声をかけられ、そのまま作業を止めてしまったのだ。そこからすっかり忘れて手付かずのまま、帰路についてしまったのだ。

仕方なく、2号室の方に目をやって、明かりがついているのを確認。

はじめくんに開けてもらうしかないか…。

恐らく、今日も徹夜で編集作業する予定なのだろう。申し訳ない気持ちで電話を掛ける。

『もしもし、お疲れ様です』
「あ、お疲れ様です。すいません、邪魔して」
『いえいえ、どうしました?』
「いやぁ、1号室に1号室の鍵忘れちゃって…、誰かいるかと思って戻ってきたら、今日に限ってみんな居なくて…」
『あはは、何やってんすか〜。ちょっと待ってて下さいね』

いつもの気の抜けた笑い声に安堵して、玄関に凭れてしゃがみ、はじめくんが降りてくるのを待つ。
街灯の少ない住宅街、夜空にチラチラと星が瞬いているのに気づいて、ぼんやり見上げていた。

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作者名:みち | 作成日時:2019年9月26日 7時

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