隣人エンカウント ページ9
いま入ってきた住人は私の後ろに立った。
エレベーターは全部で6台ある。
にも関わらずわざわざ私の後ろに並んだ人をガラス越しに観察する。
私から少し間を空けて立ち、スマートフォンに目を落とす彼は割と長身でスラリとしている。
身につけているものは全てが洗練されていて、ブランドの類には疎い私から見ても良いものだとわかる。
失礼ながら顔もジロジロと見てしまった。
かなり整っている。
異国の血が混ざったような顔立ちだ。
大きめの眼鏡をかけ、金色の長髪を後ろでハーフアップにしている。
そこまで観察したところで、エレベーターがきた。
私が乗り、続いて彼が乗る。
『何階です？』
「…！ ア、えーと64階ィ…」
私が唐突に振り向いて声をかけたことで少し驚かせてしまったのか、彼は眼鏡をいじりながらもごもごと答えた。
彼の返答で私も驚いた。階数が同じだ。
ひとつの階には住人が5人しかいない。
この世界初日に同じ階数の住人に出会うなんて。奇跡。運命…？
変な方向に思考が進んだが、彼とともに64階に降り立つ。
エレベーターを降りて直線を進むとすぐに私の部屋に着いた。
同乗していた彼の足もすぐに止まった。
隣人さんだったとは。
隣人さん「え。」
彼も私が隣人ということに気づいたのか、まじまじとこちらを見ている。
『すごいタイミングですけど、はじめまして。
隣の部屋の環です。どうぞよろしく…。』
隣人さん「あ、あァ、どうも。山田です。
こちらこそよろしく！」
急に元気に挨拶してくれた隣人さん。
この人がネームプレートも私服もお洒落な山田さん。
.
入学試験を受けるよ。まぁ推薦なんだけどね。→←町探検するか。
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作者名：栄衰 | 作成日時：2018年7月30日 22時
