引き出し物:5 7月24日 朝 ページ5
Aは布団から跳ね上がった。
いや、そもそも布団なんてあったのだろうか。
夕方に寝たはずなのに、襖の間からは眩しい光が差し込む。
誰かが気を利かせて布団をかけてくれたのだろうか。
眠気がまだ残る中、壁に貼ってある日めくりカレンダーを見つけた。
7月23日
7月24日ではなかった。
おかしい。
部屋の壁掛け時計は、いつもAが起きる時間である8時を指していた。
Aは、いつも朝、起きたときにカレンダーをめくるようにしていたはずだ。まさか忘れていた?
まさか…。7月24日の朝に戻った?
襖を開けると、
「あれ?あるじさまですか?おはようございます。せっかくおこそうとおもったのに。」
頬をふくらませた可愛らしいいつもの今剣だった。いつも寝坊するAをいつも起こすために当番を決めてくれたのだ。
今日は今剣だった。
A「今日は早めに起きれたんだ。嫌な夢を見てね。」
今剣「いやなゆめですか??こわいですね。」
首をかしげて私を心配してくれる姿は、先ほど見た夢を弾き飛ばしてくれる。
今剣「あっ!!あるじさま!!
きょうは『そうこのそうじ』がんばってくださいね!」
え・・・?今なんて?
今剣「きれいになったらみんなでかくれんぼするんですから!」
もう、『きれい』にしたはずだよ?
Aは今剣と会話を済ませた後、急いで倉庫へ行った。
倉庫へ入ると、ほこりが溜まり、刀剣は乱雑に置かれていた。
A「嘘だよね。私はこの手で掃除したはずなのに。」
何かがおかしいじゃない。全部がおかしい。
(また同じ日を繰り返しているの?)
倉庫から出た後、自室に戻る途中、
加州「朝ごはんができたから呼びに来たよ主。」
いつものように、加州はそこにいた。夕飯ではなく朝ごはんだったが。
A「ね、ねえ加州。明日って何か用事とかあったよね。」
加州なら覚えているはずだ。こんのすけとの予定を考えるために一緒にそばにいてくれた唯一の近侍だったのだから。だが、期待は見事に外れる。
加州「特に何もなかった気がするけど…。」
視界が混乱で歪んで見えてきた。立ちくらみもした。バグかなんかと考えたが実例なんて聞いたことがない。
でも、結論ははっきりした。
Aは、7月24日をやり直さなければならない。
その意味にAの意識はそこで途切れる。
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作者名:しぐれん | 作成日時:2016年7月15日 20時