味見【乙骨憂太】

味見 ページ23

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車に揺られながら、憂太とたわいのない会話をしていたら高専前に着いた。憂太聞き専だったけど、私を黙らせて話していいんだよ？？




いや〜にしても補助監督さん、いつも本当にありがとうございます…いや本当に、(棘用の)のど飴しかないんですけど貰ってください……




グイグイとのど飴を受け取ってもらった(押し付けた)後「あの、寮に向かう時にお使い下さい」と補助監督さんが私たちに差し出したのは2本の傘だった。わぁ、この補助監督さん優秀過ぎない？





『ありがとうございます！』と言って憂太の分もと傘を2本受け取ろうとした時





「あ、1本で大丈夫です。」



『何言ってんのお前。』





そう言って補助監督さんを見送った憂太。いや本当に何言ってんの？





えもしかして私は濡れて寮まで帰れって言ってんのか？？あ"ぁん？？？とメンチを切りかけた時





「Aちゃん、これは味見するチャンスだよ。」



『え？傘1本でなんかあったっけ？』



「もう……ほら、もっとこっちに寄って」





憂太はバサッと傘を開き、傘を持っていない方の手で私をグイッと近づける。





『？？？……あ、あーーーっ、これ知ってる、参考書(少女漫画)で見た！』



「じゃーん、相合傘！」




ニコニコと子供のような笑顔で自慢げに言う憂太…可愛いな？じゃなくて




『アイアイガサって言うか……なるほど、傘1本だから互いに濡れない様にするために距離が縮まって＿＿＿』



「Aちゃん………」





ブツブツと相合傘について考察する私を見てなんか残念そうというか、呆れてる表情の憂太



いやごめんて、早く帰ろうな……いや本当にごめんって。




最近憂太の呆れ顔をよく見る気がするのは気のせいですか？



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「(抱き寄せても、距離が近くなっても全然普段通りの反応だなぁ…やっぱりこのままだと意識してもらえない、？)」






＿＿＿＿＿＿＿




『え、憂太めっちゃ肩濡れてんじゃん！！』


「え？あ、本当だ…」


『それで気づかないのはやべぇよ。憂太が風邪ひいたらダメだから、相合傘はもうやめね』


「えっ、」





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