《目的はなくとも》 ページ2
「ん…んぅ…」
「あぁ、起きましたか…」
どれだけの間、 私は寝ていたんだろう…目を覚ましたときには、菊が帰ってきていたようだ。
「一週間ほど目を覚まさなかったので、とても…とても、心配しました。」
上半身だけ起こした私の頭をくしゃっと撫でながら言う。
一週間も…寝てたんだ…
そんな時、スッと襖が開き、アーサーが入ってきた。
「おい、菊。Aは─…って!目覚めたのか‼」
私と目が合うと、急いで駆け寄り、ぎゅうっと私を抱き締める。
「アー…サー?」
私は戸惑って、どうすればいいのかわからなかった。助けを求めるように菊を見ると
「アーサーさん。尋常じゃ無いくらいに心配していたんですよ。」
私を…心配…?
「あり…がとう…」
何故か涙が出ていた。まさか私をここまで心配してくれてるとは思ってもみなかった。
私がぎゅっとアーサーの腕を握ると、「イテッ!」と小さく叫ばれた。
「ごめん!強かった…?」
ビックリして、焦って彼の腕を見ると、そこには生々しい傷が…
「ひぃ!」
思わず声をもらしてしまう。その傷を見て思い出した。
あぁ、戦争が始まったんだ…って。
そう思うと、目を覚ました事に嫌気がさした。こんなことならいっそ…ずっと…ずーっと目が覚めなきゃ良かったのに…って。
ずーっと寝てて、平和になったら目を覚ませば…
『あなた次第…って言えば良いかしら…』
ダメだ。私が何とかしなきゃ…
「うぅ…」
立ち上がったら、目眩がした。
「A!もう少し休んで「嫌だ‼」…はぁ?」
嫌なんだ。何もしないなんて…イヴァンと話してて思ったけど、やっぱりそれぞれの正義を貫き通さなきゃいけないと思う。
それは私の勝手な解釈だけど…でも…
「私にはやらなきゃいけないことがある…」
それが何なのか…何をしたいのか…何を目的にしているのかわからないけど…
でも…きっと、私にしかできない何かがあるから…
私は後で何かを言っている二人を無視して走った。飛行機に乗り込み、その地を発った。
どこに行きたいのかわからないけど…動かなきゃいけいけない気がするから…
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紀田日和(プロフ) - 夏さん» わわっ!コメントありがとうございます!他作品の方を主に進めているので、あまりこちらに来れませんが、がんばります! (2016年5月12日 22時) (レス) id: 588f4773fd (このIDを非表示/違反報告)
夏(プロフ) - 面白いです!内容も深いし…更新頑張って下さい!待ってます♪♪ (2016年5月12日 20時) (レス) id: 187663e81f (このIDを非表示/違反報告)
ふにゃこ(プロフ) - 続き、出てたんですね!戦争の話は、やっぱり読んでて切ないです…。 (2016年3月25日 1時) (レス) id: a9be79f543 (このIDを非表示/違反報告)
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