ほくほく短編集。2 (ページ39)

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帰り道。
偶然大我と鉢合わせした。

でも隣にいたのは、あの人で。

『あ、北斗じゃん！』

「…どうも、」

『一緒に帰る？』

もちろん、大我と一緒に帰りたい。
でも大我の隣にいるべきは、俺じゃないから。

「……お、俺用事あるんだっ…Aさんだっけ？大我と一緒に帰ってあげて笑」

精一杯の笑顔を作って笑う。

その場を去る前に、大我に耳打ちした。

" 頑張れ " って。

そしたら笑顔で、ありがとうなんて笑うから。

気持ちが溢れる前にその場を離れた。

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走って走って、どこにいるのか正直よく分からない。

いつも歩いてる通学路なのに。

俺の家こっちじゃないのになぁ。

「っはぁ…うぅ、」

涙が溢れる。
息が出来なくて苦しい。

だめ、もっと走らなきゃ。理由なんてないけど。

「……あ…っ！」

「ってぇ……」

ド派手に転けた。

なんで俺ばっか、

「っうぅ…っ」

16にもなる大きい男が、道で膝ついて泣いてる。
傍から見ればヤバい奴だろう。

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でも立てる力なんてなかった。

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翔『……北斗？』

上から聞きなれた声が。

翔太だ。

翔太は俺が泣いてるのをよく確認したあと、隣に座って背中を摩ってくれた。

何も聞かないのが、翔太なりの優しさなのかもしれない。

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「っはあ"ーー！」

大声を出してみる。

翔『……っわ、ビビった〜、』

翔『いきなり辞めろよな！！笑』

「…っおし、！！翔太帰ろう！！」

翔『切り替え早すぎだろ…笑』

翔『まぁ、何があったかは知らねえけど、無理すんなよ』

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翔太の優しさが、身に染みた。

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