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探偵社設立秘話 第1章 出会いは偶然か必然かはたまた運命か 第7話 ページ10

その頃横浜に、


「おそろしく腕の立つ用心棒がいる」


との噂があった。


刀を持たせれば百名の悪漢を斬り伏せ、


槍を持たせれば一個軍勢と渡り合う。


居合、やわらを修め武芸百般、


休日には書物と囲碁盤を供とし教養も高い。


仕事ぶりは冷静 沈着 狼のような冷静さで確実に


依頼人を守り抜く。


欠点を敢えて挙げるなら、決して誰とも組まず


ただ一人で護衛をこなし誰にも心を


許さぬこと。



すなわち、一匹狼である。


周囲の人間をして


「奴が誰かと組むなど、絶対有り得ぬ。
ましてや組織に属し、誰かの上司となる
ことなど天地がひっくり返っても有り得ない」


と云わしめる孤高の無頼人



男の名は――福沢諭吉。


この短い物語は、ある男と少女の


苦労の記録であり


成長の記録であり――子育ての記録である。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


その日福沢は、おそろしく不機嫌な


顔をしていた。


大通りを大股で歩く福沢を、休日の人の波は


潮が引くように避ける。


横断歩道を福沢が歩けば


青信号でも自動車が止まった。


すべて福沢の表情からにじみ出る不機嫌の


気配によるものだった。


ただ――実際のところは、不機嫌とは少し違った


福沢は自己嫌悪に陥っていたのだ。


依頼人が暗殺されたのだ。青天の霹靂だった。


用心棒である福沢の主務は二種類ある。


平時から安全指導を行い有事の際には


最優先で駆けつける契約警護と


日単位で人物あるいは物品に対する護衛を


行う単発警護だ。


今朝殺されたのは常時契約の顧客。


つい数日前から用心棒として護衛をしていた


さる企業の女社長だった。


仕事以外で話したことはなかった。


福沢は仕事以上の付き合いは極力避けるように


生きてきたから、警護の対象について


人間的なところは何も知らず、


また興味もなかった


ただ一度、


「専属の警護官にならないか」


との勧誘を受けたことはあった。


組織に属し同僚や部下を持つことを嫌う


福沢は、その勧誘を即座に断ったが――。


専属として社長の許に常駐していれば、


あるいは結末はまた変わっていたかもしれない

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ラッキーアイテム

麦わら帽子


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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 織田作之助 , 成り代わり   
作品ジャンル:アニメ
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読書日和(プロフ) - あい様、教えて下さりありがとうございます( > _ < )修正しておきました (2019年3月9日 7時) (レス) id: 074c26cf03 (このIDを非表示/違反報告)
あい - あの、19話と20話が同じなんですけど。 (2019年3月8日 21時) (レス) id: ba4bf15776 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:読書日和 | 作成日時:2019年2月19日 21時

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