第29話 ページ34
「他にも云おうか? 真新しいけど
飾りっけのないネックレスは
贈り物じゃなくて自分で買ったもの。
あと塞ぎかけてる耳のピアスの穴。
つまりここ数年の――」
「乱歩、そこまでにしろ」
想像以上に低い声で私は注意した。
乱歩は、一瞬吃驚した
様子で、止まった後
直ぐにまた詰まらそうな顔で黙った。
しんとした空気を破ったのは
福沢だった。コホンと咳払いをし
話を戻した。
「関係者に話を聞きたいが、構わないか?」
「勝手にして頂戴!」
江川女史はそう吐き捨てた。
「云っておきますけど、私はこの仕事が
気に入ってるの! ああもう忌々しい
どいつもこいつも......」
江川女史は玄関ホールの床を踵で
高く鳴らしながら、足早に
歩き去ってしまった。
「大人の世界って不思議。
なんで怒るのかな?」
女史の背中を見ながら乱歩が呟いた。
福沢は息を深く吸い、止めて、吐き出した。
横目でチラッと顔を見ると
福沢の表情は疲れていた。
乱歩が仕事が長続きしない
理解できた、という顔だった。
ラッキーアイテム
麦わら帽子
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読書日和(プロフ) - あい様、教えて下さりありがとうございます( > _ < )修正しておきました (2019年3月9日 7時) (レス) id: 074c26cf03 (このIDを非表示/違反報告)
あい - あの、19話と20話が同じなんですけど。 (2019年3月8日 21時) (レス) id: ba4bf15776 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:読書日和 | 作成日時:2019年2月19日 21時