第24話 ページ29
それから白い名刺に書かれた文面に
顔を近づけてじっと見つめた後、
「ふむ」と云い、店の奥に歩いていった。
店内に設えられている緑電話に
小銭を入れ、番号を回した。
福沢の懐で呼び出し音が鳴った。
携帯電話に耳をあてた。
棒読みの乱歩の声が聞こえてきた。
福沢の受話器と店の奥からと、二重になって
福沢は、真顔のまま黙っていた。
「死んでしまいます?」
と何故か疑問形で云うと
「......では宿泊施設を紹介し――」
「次の仕事がなくて死んでしまいます」
被せるように乱歩が云う。
しばらく黙った後、妥協したように云う。
「......では次の仕事に一緒に来い。
俺が無理だが、先方で人員を探していた筈だ
仲介しよう。それでいいか?」
福沢の言葉に目を輝かせて
振り向いた乱歩。
「それじゃあ早速行こう! 先ずは荷物を
取りに――いやその前に手洗いに――
その前にちょっと
もう口の中が甘くて甘くて――ちょっと
これ持って! 揚げ菓子が隣で売ってたよね
買ってくるから、いやむしろ買ってきて!
あー、喉乾いた、おじさん、お茶頼んできて!」
満面の笑みで乱歩が云う。
福沢は、何処か遠い目で乱歩を見つめていた。
第1章[完]
ラッキーアイテム
麦わら帽子
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読書日和(プロフ) - あい様、教えて下さりありがとうございます( > _ < )修正しておきました (2019年3月9日 7時) (レス) id: 074c26cf03 (このIDを非表示/違反報告)
あい - あの、19話と20話が同じなんですけど。 (2019年3月8日 21時) (レス) id: ba4bf15776 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:読書日和 | 作成日時:2019年2月19日 21時