第17話 ページ22
織田作side
「うわあああああ!?」
隣室から、秘書の悲鳴が聞こえてきた。
耳を澄ますと、紙が靡く音も聞こえてきた。
おそらく、乱歩が窓を全開にして
部屋に敷き詰められていた書面を
風で吹き飛ばしたのだろう。
先刻、福沢にあった時から私はずっと
考え事をしていた。それは――
秘書を殺すかどうかだ...
原作通りなら私は、秘書を殺すべきだろう
裏切りに対しての報復は死をもって償われる
だが...私は、きっと躊躇してしまう
織田作之助の代わりで、ないといけないのに
迷ってしまう。あの男の云った言葉が
私の脳内に響き渡る。
私は、イレギュラーだ。
本来はこの世界にはいていけない存在
その所為で兄は......。
イレギュラーで、あるからこそ
だが、私はどんなに頑張っても
織田作之助には決してなることは出来ない
私は......どうすればいい......
誰か教えてくれ!!
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ふと、兄の言葉を思い出した。
まだ、兄が元気だった頃。
私は、何時も兄の真似をしていた。
「作、俺の真似ばかりしていても、
いいことは無いぞ?」
いつの日か、私は兄にそう云われた。
「私は、お兄ちゃんの片割れだもん
お兄ちゃんと一緒がいいの」
一緒がいい、そんなのは言い訳だ。
唯、兄がいつか居なくなってしまう気がして
その時は、常に真似事ばかりしていた。
兄と一緒の銃を使ったり。
兄に合わせて、髪を揃えたりしていた。
傍から見れば、男児の双子に見えただろう。
それは、兄にとっては
不思議でしかなかっただろう。
「作弥は、作弥だろう。俺の真似
なんかせず自分らしく生きればいい。
お前の人生だ。迷ったりしても、
自分で考えて間違ってても進んでいけばいい。
何もせず、唯誰かの後ろを歩いているよりかは
幾分か、人生は楽しくなる。」
兄は私にそう云ってくれた。
それでも、その時の私は
兄がいなくなるとは思ってもいなかった。
きっとこの不安は気の所為だろうと
決めつけていた。
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そうか......そうだよな兄さん。
私決めたよ。兄さんの真似はもう辞める。
自分らしく生きるよ。
殺しを辞め、小説家を目指すよ。
「嗚呼、頑張れ......作弥」
兄の応援するが聞こえた気がした。
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読書日和(プロフ) - あい様、教えて下さりありがとうございます( > _ < )修正しておきました (2019年3月9日 7時) (レス) id: 074c26cf03 (このIDを非表示/違反報告)
あい - あの、19話と20話が同じなんですけど。 (2019年3月8日 21時) (レス) id: ba4bf15776 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:読書日和 | 作成日時:2019年2月19日 21時