15 ページ15
「ゾムも邪魔する気か？」
「Aには手ぇ出すな。野良のとこ行け」
「野良は嫌や！不潔やん」
「否定はせん。でも、Aはアカン」
「……A。また今度な」
「今度なんかないです！」
ゾムの殺気を感じ取ったロボロは仕方なく手を引いた。ふぅ、と安堵の息をついたAはゾムを見上げる。
「また助けて貰っちゃいましたね。ありがとうございます」
首を竦めて笑うAを直視したゾムは壁に頭を打ち付け出す。
「ゾムさん！？私の部屋で訓練しないでください」
「くはっ、訓練ちゃうわ。ばーか」
「馬鹿とはなんですか、失礼な。学生時代は成績良かったんですよ！」
「なんやそれ」
「……なるほど。この世界にはそんなもの無いんですね。あの、ゾムさん。大変申し上げづらいのですが、後ろにトントンさんが」
バッと振り返ったゾムは顔を引き攣らせた。
「トントン、何？」
「別に」
「別にって顔してへんけど」
Aと仲良さそうに話すゾムが気に入らなくて、それはそれは恐ろしい顔を浮かべていた。お互いAの事を譲る気は無い。2人の間に火花が散る。
「トントンさん。お腹空きました」
「ああ、せやったな。折角やし、アイツらも呼ぼうや。俺らが居る前で襲うアホちゃうし」
「是非！まだ皆さんのことよく知らないので……。他の兵士さんとも仲良くしたいですね」
Aの発言に2人は苦笑いをする。それは難しいだろう、と。
「A。前も言うたけど、俺ら幹部が異常なだけや。普通の奴らは女を前に10秒も持たへん。幹部は皆理性が残っとる方や。兵士1人に見つかったら、数百人に襲われると思った方がええ」
「……残念です。じゃあ、ゾムさんとトントンさん、グルッペンさんは凄いんですね。精神力が」
「……ああ」
彼らはただ単純に、Aに嫌われたくないだけだ。ゆっくりゆっくり信用させて自分のものにしたい。それだけだ。
「皆さん、起きてますかね」
「起きてると思うで。今から呼ぶわ」
トントンはAの部屋ではなく、もっと広い幹部専用会議室に皆を集めた。さすがに全員分のご飯は作れないので、今日だけは料理人に朝食を運ぶよう頼む。
「ごめんな、明日からAのために朝食作るわ」
「私も作りますよ。1人暮らしだったので、ある程度は作れますから」
「Aの料理食いたい！」
「……俺も」
クスッと笑ったAは2人に親指を立てる。と、同時に幹部達が会議室にやって来た。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1460人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かす(プロフ) - かこつです。楽しませていただきました。ありがとうございます (7月17日 19時) (
レス) @page48 id: b1482de086 (このIDを非表示/違反報告)
らあゆ(プロフ) - ありがとう……ありがとう……ほんまにありがとう…一気読み最高でした( ；∀；)夢主可愛すぎるだろ…ありがとう(*´；ェ；｀*) (2023年3月21日 8時) (レス) @page47 id: 61afbf51de (このIDを非表示/違反報告)
♪si?do☆(プロフ) - とっても面白かったです！また面白い作品書いてください！ (2023年1月6日 16時) (レス) id: 89c26ef77d (このIDを非表示/違反報告)
ヒル(プロフ) - 新しい番外編...？好き。夢主の平和ボケっぽいのがずっと抜けない感じ好き。もう、語彙力喪失。ありがとうございますほんとに番外編感謝します...！ (2022年12月21日 23時) (レス) @page43 id: e3196d1b3b (このIDを非表示/違反報告)
小雪 - 完結おめでとうございます！番外編が好きすぎる…。いつも更新されるたびにわくわくして読ませていただいておりました。本当に素敵な作品をありがとうございました！ (2022年12月16日 0時) (レス) @page41 id: 472937dc0d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひよこの子
| 作者ホームページ：
作成日時：2022年11月23日 16時
