おまけ2:別れ話 ページ49
その日、トントンはとてつもない怒りに襲われた。部屋で日本刀を研いでいたら、血塗れのゾムが駆け込んできた。そして、衝撃的な話をされる。
「Aが敵対組織の麒麟組に襲われた！俺とAとシッマの3人に対して麒麟組は10人。どう考えても計画的犯行や。俺は、これだけの怪我で済んだけど、Aがっ、金属バットで殴られた」
「……は？」
地を這うような凄まじい怒りを孕んだ声。ゾムの背筋に寒気が走る。
「護衛として着いてったのに。怪我させてごめん、トントン」
「ああ。お前らが無事で良かったわ。ちょっとAのとこ行きたいんやけど」
「処置を終えて、病院で休んどる。移動させる？」
「容態は」
「大丈夫やって」
「なら、また襲われる前に組に戻せ」
そこからの動きは早かった。Aはすぐ様我々組に連れ戻され、ついでに数日間容態が変わった時の為に医者を高額で雇った。トントンは、襖を開けてAの部屋に入った。幹部には暫く部屋に入るなと告げて。
スースーと気持ちよさそうに眠るAの表情にトントンの心は締め付けられる。痛く、苦しい。大きな手で頭を撫でると、Aが目を覚ました。
「トントンさん？」
「A。平気？」
「まだ、痛いですけど大丈夫です」
「そっ、か。ごめんな。俺が居らんかったから。俺があんな下衆集団と敵対しとったから。Aに及ぶ被害の事考えとらんかったわ」
ギュッとトントンがAを抱き締める。Aはソッと抱き締め返して、キスをする。
「私も、それなりの覚悟を持って我々組に来ました。これくらいのこと、問題ないです」
「俺の気が収まらへんねん。A。……別れん？もう、俺の事でAが傷つくの嫌や」
か細い声でトントンが言うと、Aはペチンとトントンの頬を叩く。全く痛くないが、トントンは驚いた顔でAを見つめる。
「トントンさんは私の事嫌いになりました？あんなにしつこいアピールして今更捨てるんですか？」
「ちがっ、俺は、Aに幸せになって欲しいから」
「じゃあ、別れないで下さいよ。私の幸せは、トントンさんと一緒に居ること。皆さんと一緒に居ることです。別れ話とかする前に、私を守れるくらい強い男になるとか言ったらどうですか」
「せやな。すまん」
トントンは軽くキスを落として、Aを撫でる。そして、組員全員を部屋の前に集めた。
「我々組総員に告ぐ。俺の世界一大事な妻を傷付けた麒麟組に天誅を」
「それでこそアナタですよ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1521人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆず塩(プロフ) - 何回も読み直して部屋が水没するくらい泣きました…最高です！！ (3月29日 1時) (
レス) @page50 id: 8ae73bc925 (このIDを非表示/違反報告)
けんまおし1016(プロフ) - もうこの作品も最高でした!!!!最後のrbrさんとの話がまたよかったです!!大好きです!!←突然の告白 (2022年12月11日 14時) (レス) @page50 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
ねう。(プロフ) - ボロッボロに泣きました。とても素敵なお話でした。今までたくさんのお話を読んできましたが、こんなに感動して心を動かされてドキドキしたものはこれが初めてでした。何度も読み返させてもらいます！素敵なお話をありがとうございました！！ (2022年9月5日 18時) (レス) @page50 id: dee5bda7f0 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぺに(プロフ) - ｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡←感動しました。ひよこさん大好き。 (2022年6月17日 23時) (レス) @page50 id: bcadc0cb73 (このIDを非表示/違反報告)
防弾チョッキ（初心者） - なんちゅう殺傷能力の高いお話を書くんや・・・最高ですありがとうございました。自分的に最後のrbrさんとの会話がウヘヘヘヘ←ｷｯﾓ (2022年5月2日 23時) (レス) @page50 id: 16da95312d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひよこの子
| 作者ホームページ：
作成日時：2021年10月10日 17時
