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部屋から救急箱を持ってきたAは、トントンの傷を水で洗った。医療関係者でも無いので、適切な処置では無いかもしれないが、破片を全て取った後に、消毒をしてガーゼを貼る。手先は器用な方じゃないが、見てて痛々しい傷を放っとく訳にはいかない。
「ごめんなさい、下手くそで」
「いや、Aが一生懸命やってくれただけで嬉しいで。ありがとう」
心底嬉しそうに、Aがし処置した腕を撫でたトントンは、洗い物の続きをしようと、シンクに手を伸ばす。
「あー、ダメダメ。トントンさんは休んでてください」
「大袈裟ちゃう〜？俺の組に、ロボロって奴居るんやけど、ソイツは銃で撃たれたその日にもう1件の任務終わらせに行ったで？」
「いいから。家主の言う事聞いてください」
「……可愛ええ奥さんが言うとるし、しゃーないな」
今日も彼は旦那面をして居る。ツッコミを放棄して、Aは洗い物の続きをする。まだ9時だ。時間はたっぷりある。今日は、テレビでホラー特集をやるらしい。少し怖いが、同僚達があの番組は面白いと絶賛していたので、見ることにする。
洗い物を終えて、手を拭いてリビングに戻る。すると、トントンが洗濯物を全て畳んでくれていた。
「うわぁ……ごめんなさい。ありがとうございます」
「ええねんええねん。俺はお前の夫やからな」
トントンの描く夫像というのは一体どれほどまでに出来た男なのだろうか。世の中の大半の主婦はこういう旦那を理想とするだろう。あくまで理想だ。現実は、……まあ、お察しだ。
「助かりました。トントンさん」
食後のアイスをトントンに渡すと、トントンはぱあっと、嬉しそうに目を輝かせる。ソファに座ったAの隣に座ったトントンは、Aからゴミを受け取って、捨てに行った。その間に、Aはテレビをつけた。丁度、番組が始まったところだ。
「ぶどう味、また買ってこよ」
そう呟いたAの隣で、俺はりんご味をオススメするで。とトントンが言った。
「なんやこれ」
「ホラー番組ですって。同僚が面白いって話していたので」
「ふーん」
そういうのに驚く質では無いトントンは、つまらなそうにテレビを見た。しかし、怯えるAの反応が面白いようで、ちょいちょい肩を跳ねさせるAの手を優しく握った。
「ひっ、って……トントンさんか」
「悪いな、幽霊やのうて」
「いや、トントンさんで良かったです」
(……可愛ええなぁ。はよ連れ帰りたい)
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ゆず塩(プロフ) - 何回も読み直して部屋が水没するくらい泣きました…最高です！！ (3月29日 1時) (
レス) @page50 id: 8ae73bc925 (このIDを非表示/違反報告)
けんまおし1016(プロフ) - もうこの作品も最高でした!!!!最後のrbrさんとの話がまたよかったです!!大好きです!!←突然の告白 (2022年12月11日 14時) (レス) @page50 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
ねう。(プロフ) - ボロッボロに泣きました。とても素敵なお話でした。今までたくさんのお話を読んできましたが、こんなに感動して心を動かされてドキドキしたものはこれが初めてでした。何度も読み返させてもらいます！素敵なお話をありがとうございました！！ (2022年9月5日 18時) (レス) @page50 id: dee5bda7f0 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぺに(プロフ) - ｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡←感動しました。ひよこさん大好き。 (2022年6月17日 23時) (レス) @page50 id: bcadc0cb73 (このIDを非表示/違反報告)
防弾チョッキ（初心者） - なんちゅう殺傷能力の高いお話を書くんや・・・最高ですありがとうございました。自分的に最後のrbrさんとの会話がウヘヘヘヘ←ｷｯﾓ (2022年5月2日 23時) (レス) @page50 id: 16da95312d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひよこの子
| 作者ホームページ：
作成日時：2021年10月10日 17時
