番外編最終話:毒を食らわば皿まで ページ50
一人の女と対峙する男達。彼らは全員、一人の女に魅了され、依存している。一度入ったら抜け出せない彼女の穴に、見事に溺れてしまった。いや、溺れに行った。
「ね、ねぇ、なぁに?」
動揺する女。彼らは怒りで顔を染め、何も言葉を発さない。グルッぺンは懐から銃を向けると、女に向ける。怯えて立てない女を皆で囲む。
「お前は禁忌に触れた」
「何?私が何をしたって言うの!!!銃を下ろしてよ!!ねぇ!!」
喚く女の頬を殴ったゾムは、真顔で言い放つ。
「Aは、こんな状況でも笑ってる」
さらにコネシマとショッピが女の両手を踏みつけ、骨を粉砕する。
「あ゛あっ!!」
「Aはそんな汚い声。出さへん」
「Aは声一つで俺らを魅了する。お前が吐くのはヘドロみたいな声や」
彼女はAに成り済ましたスパイだった。グルッぺンの銃口から銃弾が飛び出すほんの数秒前に、別方向から飛んできた弾に撃ち抜かれて女は死んだ。その場に居た全員が顔を上げ、そして恍惚とした表情を浮かべる。
「朝起きても全員居ないんですもの。驚くわ。昨晩あんなに可愛がってくれたコネシマも隣に居ないのよね寂しかったわ」
「ごめん……で、でも俺、頑張って偽物を炙ったんやで!」
「ええ、偉いわね」
チュッとAにキスをされ、デレデレとした顔でAの肩に頭を乗せて笑うコネシマ。
「A、き、今日の夜空いてる?」
「今晩はショッピと約束があるの」
「お、俺も混ぜてや」
「ショッピに聞いてちょうだい」
「え、嫌や。悪いですけどゾムさん、俺とAの時間なんで」
そんなことを話しているうちに、Aは偽物の懐を調べる。体に仕込まれていたのは一丁の銃。それを見たAは銃をトントンに放った。
「D国でしか製造されていない銃よ。スパイのくせに馬鹿だわ。痕跡を残して死ぬなんて、三流ね」
立ち上がったAは、彼らの顔を見回すと、あどけない笑顔を見せた。
「さあ、朝ごはんを食べに行きましょう」
この完璧すぎる容姿に、その性格。話せば話すだけ好きになってしまう。全員が彼女を愛していて、彼女もまた全員を愛している。
「シャオロン。この前貸した枕、返して」
「えー、アレ寝やすいんやけど」
「じゃあもうシャオロンとは口聞いてあげない」
「え!ごめんて」
「っふふ、このシスコン」
「お前も俺のこと大好きなくせに」
「悪い?私は全員を愛している。全員が違った私の王子様」
「お前は最高に良い女や」
fin
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名無していう名前の名無し - しゅ、しゅきれぇしゅ‥‥‥。翻訳 やっばばばばば、ワイのドンピシャキチャーーーーーー神すぎる‼︎‼︎好きです‼︎‼︎。 (8月11日 15時) (レス) @page50 id: cfc3f2d0fe (このIDを非表示/違反報告)
けんまおし1016(プロフ) - スッゴい面白かったし最高でしたぁぁぁ!!!まじで神ですね!!!! (2022年12月10日 13時) (レス) @page48 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
有栖川.(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!!かわいい愛のお話だったなあとしみじみ感じております。ありがとうございます。ひよこの子様の作品の主人公ちゃんってみなさんお可愛いですし生き方に尊敬してます。ありがとうございます。体調にもお気をつけください。好きです。 (2022年9月25日 10時) (レス) id: 0350dafbfb (このIDを非表示/違反報告)
みずき - ん“ん”ん“!!!ック…!どう”どい“!!完結おべでどうございまず!!(泣) (2022年9月25日 2時) (レス) @page45 id: 129e1b5429 (このIDを非表示/違反報告)
カンナ(プロフ) - むむさん» 教えてくれてありがとうございます、これから気おつけますm(*_ _)m (2022年9月25日 0時) (レス) id: 07b6abd3f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひよこの子 | 作者ホームページ:
作成日時:2022年9月14日 17時