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「……捨てないで、」
「A……？」
Aの目から涙が流れる。悪夢でも見ているのだろうか。ゾムはただ彼女を抱き締める。
いつもはあんなにも強気で気高く、弱みなんか1つも見せようとしない傲慢女なのに。今はこんなにも小さくて、弱々しい声で必死にゾムに縋り付く。
「捨てへんよ。大丈夫」
ゾムは彼女を抱き上げると、スタスタと来た道を戻る。夜景を見ながら彼女のの心をゲットする。そんな単純な想いと作戦でここに来たが、それ以上の収穫が得られた。これで彼女の心が少しでも自分に傾けばいい。そう願いつつ、大きな月を見上げて軍に戻った。
「……ありがとう、ゾム」
ゾムがAを彼女の部屋のベッドに下ろした時、目を覚ました。
「いや、お前の寝顔が見れただけでも嬉しいわ」
「……もしかして、寝言とか聞いちゃったりした？」
「…………いや、なんも聞いてへん」
「そう。ならいいの。おやすみなさい、ゾム」
「ん、おやすみ」
ゾムの優しい嘘に騙された彼女は安堵の息をついて再び眠った。
翌朝、悪夢によりいつもより早く起きてしまったAが軍内を歩いていると、オスマンに遭遇した。
「あら、早いのね」
「徹夜で仕事しててん。…紅茶、飲む？」
「ええ、是非」
オスマンに連れられて彼の部屋のソファに座る。茶葉のいい匂いが鼻を満たす。
「私、貴方に聞きたいことがあったの」
「何？」
「この辺に美味しいケーキ屋ってあるかしら。最近食べたくなってきて」
「いっぱいあるで！基地の北門から出て坂を真っ直ぐ下ったら、駅があるやろ？あの周辺はなんでも美味い。今日は仕事あるから行けへんけど、明日連れてったろか」
「ありがとう。貴方の奢りよ？」
「当然や。お前みいたな美人の隣歩かせて貰うだけで金払えるで」
「お口が上手ね。でも、貴方は嘘つきだから。信用しないでおくわ。お茶、ご馳走様」
Aが席を立つと、オスマンは彼女の手を引いて、耳元に口を寄せた。
「今言うたことは全部ホンマの事やけど？」
わざと数段声を低くして、ねっとりと言う。力が抜けかけたAはなんとか堪えて、オスマンから離れる。
「どういうつもりかしら」
「Aの心が欲しいだけやけど？俺も参加してええやろ。お前を手に入れる恋愛レースに」
「参加は自由よ。ただし、優勝は無いレースだけど」
「望むところや」
オスマンと部屋を出て、食堂に向かう。食堂の扉を開ければ、美味しそうな匂いが飛び込んでくる。
「いい朝ね」
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名無していう名前の名無し - しゅ、しゅきれぇしゅ‥‥‥。翻訳 やっばばばばば、ワイのドンピシャｷﾁｬｰーーーーー神すぎる‼︎‼︎好きです‼︎‼︎。 (8月11日 15時) (
レス) @page50 id: cfc3f2d0fe (このIDを非表示/違反報告)
けんまおし1016(プロフ) - スッゴい面白かったし最高でしたぁぁぁ!!!まじで神ですね!!!! (2022年12月10日 13時) (レス) @page48 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
有栖川.(プロフ) - 完結おめでとうございます！！！！かわいい愛のお話だったなあとしみじみ感じております。ありがとうございます。ひよこの子様の作品の主人公ちゃんってみなさんお可愛いですし生き方に尊敬してます。ありがとうございます。体調にもお気をつけください。好きです。 (2022年9月25日 10時) (レス) id: 0350dafbfb (このIDを非表示/違反報告)
みずき - ん“ん”ん“！！！ック…！どう”どい“！！完結おべでどうございまず！！(泣) (2022年9月25日 2時) (レス) @page45 id: 129e1b5429 (このIDを非表示/違反報告)
カンナ(プロフ) - むむさん» 教えてくれてありがとうございます、これから気おつけますm(*_ _)m (2022年9月25日 0時) (レス) id: 07b6abd3f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひよこの子
| 作者ホームページ：
作成日時：2022年9月14日 17時
