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「いい子」
コネシマの頭を撫でると、その手に擦り寄るコネシマ。やはり好きなんだ。この女が。愛してしまった。世界で一番美しく、世界で一番愛してはいけない女に恋をした。
「A、好きや」
「知ってるわ。でも私は嫌い」
「無関心じゃないならええわ。俺、馬鹿なワンコやから。飼い主に噛みつくで」
「困ったわ。もっと躾なきゃ」
コネシマの耳に舌を這わせると、コネシマの口から声が漏れる。彼がニヤッと笑った瞬間、Aはいつの間にか天井を見上げていた。
「それ、誰に付けられてん」
「グルッペンよ」
キスマークを見て顔を顰めたコネシマは、Aの左手の薬指を掴んでガブリと噛む。
「痛っ、」
「っは、よう似合ってるで。じゃあ、頑張りや〜」
コネシマにつけられた噛み跡は、まるで真っ赤な結婚指輪のようだった。血が流れるが、処置もせずにAはコネシマの出ていった扉を睨みつける。
「莫迦ね」
チラッとかけられてる鏡に視線を向ける。
醜くて、酷い顔だ。ニコリと偽りの笑顔を貼り付けて、もっと醜くしてから部屋を出る。廊下を歩いていると、エーミールに話しかけられた。
「シャオロンさん?」
「老眼かしら?Aよ」
「す、すみません……」
顔を真っ赤にして背を向けたエーミール。Aは彼を呼び止めて、顔を綺麗な手で掴む。エーミールは心臓がうるさすぎて、彼女に聞こえてしまうのではないかと心配になった。
「貴方も私を避けているでしょう」
「避けてません!ただ、女性と話すのは得意ではなくて。貴方みたいな傾国の美女、恐れ多くて」
「へぇ、口は上手ね」
そう言うとそのままトントンの部屋に行き、ノックもせずに部屋に入る。
「ノックせえ……」
「私が貴方に気を遣う必要ないわ。……トントン。この軍で1番近接が得意な人間1人寄越しなさい」
「じゃあ、シャオロンやな」
シャオロンという言葉にAは肩を跳ねさせた。だが、何事も無かったかのように振る舞う。
「少しシャオロンと軍を空けるわ」
「なんで?今の状況分かって言ってんのか!?」
「グルッペンを連れて帰ってくる」
「……信じてええんやな」
「ええ」
「じゃあ頼んだ」
「ありがとう。あと、いい加減私の方見て話せるようになりなさい。パソコンの中に私は居ないわよ」
「……うるさい」
トントンはシャオロンを呼び出して、事情を話した。嫌そうな顔をしたが、それでグルッペンが戻るなら、と了承する。
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名無していう名前の名無し - しゅ、しゅきれぇしゅ‥‥‥。翻訳 やっばばばばば、ワイのドンピシャキチャーーーーーー神すぎる‼︎‼︎好きです‼︎‼︎。 (8月11日 15時) (レス) @page50 id: cfc3f2d0fe (このIDを非表示/違反報告)
けんまおし1016(プロフ) - スッゴい面白かったし最高でしたぁぁぁ!!!まじで神ですね!!!! (2022年12月10日 13時) (レス) @page48 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
有栖川.(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!!かわいい愛のお話だったなあとしみじみ感じております。ありがとうございます。ひよこの子様の作品の主人公ちゃんってみなさんお可愛いですし生き方に尊敬してます。ありがとうございます。体調にもお気をつけください。好きです。 (2022年9月25日 10時) (レス) id: 0350dafbfb (このIDを非表示/違反報告)
みずき - ん“ん”ん“!!!ック…!どう”どい“!!完結おべでどうございまず!!(泣) (2022年9月25日 2時) (レス) @page45 id: 129e1b5429 (このIDを非表示/違反報告)
カンナ(プロフ) - むむさん» 教えてくれてありがとうございます、これから気おつけますm(*_ _)m (2022年9月25日 0時) (レス) id: 07b6abd3f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひよこの子 | 作者ホームページ:
作成日時:2022年9月14日 17時