【d!】青春謳歌のnページ【合作】 (ページ22)

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初恋の業【os】(冷酷楽園) ページ22

“初恋は叶わない”…よく聞く言葉である。
そして、その初恋は幼馴染に対して。

「え、Aちゃんめっちゃかわええやん！」
「…似合ってるで。」

前までならそう声かけられても笑って返せていたのに。
今ではそんな余裕もなく、顔を赤くしないように誤魔化すことしかできない。
ぎこちなく笑い、それこそ前までなら話しかけられるのをとても喜んでいたのに、今では彼から声をかけられると逃げてしまう。
彼が他の女の子と喋っているとモヤッとした気持ちになるし、自分以外の女子が褒められていると、嫉妬してしまう自分がいる。
そして何より、こんな感情を抱いてしまう自分に腹が立つのだ。

(なんでこうなっちゃったんだろ……。)

Aは自問自答する。
彼のことを意識し始めたのは、果たしていつだっただろうか。
少なくとも、それが分からないほど昔から意識していた気もする。

でもそれは恋ではないと思っていた。
だって、幼馴染。しかも、ずっと昔から仲が良かった。
だからこの気持ちが"恋"だと気づいたときは、自分で自分のことが信じられなかった。

それと同時に、今まで彼としてきた会話や思い出が走馬灯のように蘇ってくる。

(私、こんなにもマンちゃんのことが好きだったんだ……。)

それに気づくと同時に、今まで以上に彼に話しかけられなくなってしまった。
きっと彼は私のことをただの友達として見ているだろう。
そう思うと、胸の奥がチクチクと痛む。

そんな悶々とした日々を送っていたある日のことだった。
放課後、教室に忘れ物を取りに行くと、そこにはマンちゃんがいた。

私は彼の存在に気づいていなかったからか、つい声をかけてしまった。
すると彼は驚いた様子でこちらを向く。
どうやら彼も今取りに来たらしい。
そこで私はふと思った。

(……今日はチャンスなんじゃないか？)

彼がいるということは、必然的に他の男子はいないということだ。
つまり、いつも邪魔されているあのイベントが発生しないということになる。
私はその考えに至った瞬間、心臓が大きく脈打った。

しかし、それと同時に、ある問題にも気づいてしまう。
それは……告白をする勇気がないということだ。
今までなら、例え失敗したとしても特に何も感じなかったが、今は違う。
もし振られたらと考えるだけで足がすくんでしまうのだ。