59 ページ10
そして、V国の書記長が我々国に到着した。宴会場に通され、幹部たちを中心に歓迎の挨拶とお酌が回る。
しばらくすると、楽しげな音楽に合わせて、15人の美女が踊りのために入ってきた。彼女らは、トントンの手によって集められたAの引き立て役。
ヒラヒラとドレスを動かし、美しく舞う。彼女たちはとても綺麗だった。だけれど、書記長殿の目には、今まで見てきたものと同じだったようで、つまらなそうにその宴を見ていた。
「グルッペン殿。残念ですよ。私は、我々国の伝統舞踊を綺麗な方に踊って欲しいと言いました。ですが、期待を裏切るこの出来は……ね、」
書記長は嘲笑し、クイッと酒を喉に通した。
「まぁまぁ、そう落胆しないで下さい。前座ですよ。今のは」
「ほう」
あまり期待していない目で、言った書記長は、コキっと首を鳴らしグルッペンを見つめた。グルッペンはトントンに目配せし、Aを連れてくるよう指示した。
ーーーーーーーー
「A〜出番やで〜」
「すみません、彼女、泣いてしまって」
Aは、先程の踊り子たちを慰めていた。全力で踊ったが、書記長殿に気に入られず、この程度扱い。
トントンは、それを見て頭を搔いた。慰めるのは得意では無い。オマケに相手は女。だから、トントンは、自分の感想を素直に彼女たちに伝えた。
「綺麗やったよ。皆」
「ト、トントン様ぁ……!!」
さらに涙溢れた踊り子達にハンカチを渡したAは、行ってきます。と静かに笑った。
「化けたな」
「化粧の力です」
自分と目を合わせてくれないトントンに、Aは目を合わせようと頑張るが、トントンは顔を赤くしてやめろ……、とAから遠ざかった。
「さてと、ヘマすんなよ」
「脅しですかね」
トントンを見上げたAは、無邪気な少女のように笑い、宴会場の扉を開いた。
1178人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蒼 - ページ40の話の上から11行目(文字が開いて行数で書かせていただいております)zm様の言葉が、「分かった!!行ってくる!! という表記になっております。細かくて申し訳ないです。ごめんなさい。 (8月24日 3時) (レス) @page40 id: 7197a413b4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - え……え????いや、これは訳ありパターン…続編も楽しみにしてます! (2021年3月30日 17時) (レス) id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)
BAND(プロフ) - え、夜ダメとか可愛いかよ((( (2021年3月30日 14時) (レス) id: 89d985a64d (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - コメント失礼します!64がなにもない状態で公開されちゃってます!あれ?私が見えてないだけでしょうか…間違いでしたらごめんなさい。 (2021年3月27日 17時) (レス) id: 0c3a2b2511 (このIDを非表示/違反報告)
小茶丸 - 続編おめでとうございます!続きが楽しみだぁ! (2021年3月23日 23時) (レス) id: dd1575ae33 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ひよこの子 | 作者ホームページ:
作成日時:2021年3月22日 18時