【d!】大嫌いやねん【2】 (ページ32)

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番外編:豚さんとページ32

「トントンさん。たまには息抜きしませんか？」

「は？」

ズレ落ちた眼鏡を押し上げて、トントンは間抜けな面を晒す。

「そろそろ仕事も落ち着いてきますし。街の方でお茶しません？」

「なら、俺の部屋来ぃや」

ここもトントンの部屋だが、仕事用。実は扉を隔てた向こう側にもう1つ部屋があるのだ。ズルいと文句を口にした幹部は、お前ら仕事するんか？あ？というトントンの圧に潰れる。

「では、お邪魔させて頂きますね」

A達は一旦仕事を切り上げて、トントンの自室に向かう。部屋の中心にあるアンティーク調の机の上には、は花が飾られている。意外ですね、とと言ったら怒られそうなので口を噤んでおく。

「何飲む～？」

「紅茶ストレートで。なければコーヒーでお願いします」

「どっかの誰かさんのせいであんねんなぁ、紅茶」

どこぞの外交官の顔が思い浮かぶ。トントンはコーヒーを淹れて、Aの正面に座った。大皿に茶菓子を置いたトントンは、疲れた脳に糖を回すためパクパクと食べている。

「A。ショッピ君とシッマのことうざくないん？」

「鬱陶しいですけど、あれが普通なので。あと、アレがあるからギャップ萌えするんですよ」

「ほーん、よう分からんわ」

ズズっとコーヒーを飲む。するとAが突然立ち上がり、トントンに顔を近づける。

「な、なんなん!?」

「失礼します」

白いハンカチでトントンの口元を拭ったAは、柔らかく笑う。

「お菓子のカスがついていたので」

「び、びっくりしたわぁ。付き合ってへん男にそんなんしたらアカンで……」

「確かに付き合ってないですけど、トントンさんですし」

「俺に手ぇ出す勇気がないと？童貞やからってバカにしとんなぁ!?」

「まぁ」

「あのー、否定してくれんと困るんですが」

「なんて、冗談ですよ。トントンさんは上司ですし、ずっと一緒にいる方なので、抵抗ないだけです。馬鹿にしてはないですよ」

Aも1口お菓子を食べて頬を緩める。その顔がトントンの目には小動物のような可愛らしさがあるように見え、顔を真っ赤にする。

「トントンさんこそ、いつもグルッペンさんのお世話疲れないんですか？」

「ストレス」

「あぁ」

察したように呟いたあと、Aは手をわきわきさせる。

「マッサージしましょうか？」

「うぇ!?」

「疲れとれますよ。さぁ、横になって」

トントンは、真っ赤という表現では足りないほど顔を赤くして声を荒らげる。

「やっぱからかっとるやろー!!」