【d!】大嫌いやねん【2】 (ページ16)

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誰がこの状況をAに説明するか、悩んでいた時、Aが立ち上がった。トテトテと歩いて、グルッペンの足にしがみつく。可愛い。だが、何故だろうか。

「にぃに？」

コネシマと同じ金髪だから、勘違いしているらしい。

「グルちゃん。今はそうやと言ってあげた方が、Aちゃん安心するんちゃう？」

コネシマの代役というのは大変不本意であり、不快だが、Aの笑顔には代えられない。ムギュっと嫌そうな顔をしたあと、ぎこちない手つきでAの頭を撫でる。

「せやぞ」

「にぃに～!!」

「はうっ」

後ろの方で誰かが死んだ。鬱先生だろうか。

「あのね、あのね。今日、射撃で1個当てられたの！」

「…？」

「グルちゃん、反応」

「あぁ、コネシマの真似すりゃいいんだな？」

ギュッとAを抱きしめたグルッペンは、そんなAをべた褒めする。

「うわぁ、犯罪者や」

「通報せな」

犯罪臭がすごい。しかし、兄(仮)に褒められて嬉しかったのか、Aは満面の笑みで眠りにつく。

「まさか、一生このままとか言わへんよな」

原因がわからない以上、どうすれば治るのかも分からない。トントンは力無い声で言う。Aがずっとこのままだと、あの凄まじい業務をまた1人でやらなくてはならなくなる。

「A、今はあんなんやけど、昔はこんなに感情豊かで可愛らしくて、お兄ちゃんっ子やったんやな」

ロボロが優しい目をAに向ける。その時だった。激戦を制した兄が帰ってきた。フラフラとAの方に倒れ込むと、Aが目を覚ます。

「にぃに？」

「うん、せや。にぃにやで。……ただいま、A」

「にぃに～！じゃあ、さっきのにぃには？」

「あ？」

コネシマががクルッと皆を見回す。事情を話すと、コネシマは軽くグルッペンに謝罪し、Aを膝に乗せる。

「A。今日はもうねぇや。明日も訓練やろ？」

「うん！早く親にすごいね、って言ってもらうの」

「親って……」

この時期から、両親を親呼ばわりとは。と闇深い兄妹を引き気味に見る。

「2番目のにぃに!!ほめてくれてありがとう」

にひっ、と笑ってAはコネシマの胸に顔を埋めて寝出す。

「……グルッペン、顔真っ赤やで」

「そりゃ、こうなるやろ。ホンマに可愛ええ。シッマズルいわ」

「せやろ、世界一の俺の妹や」

その後、Aは戻った。しかし、幼児化している時の記憶も残っているらしく、グルッペンに土下座をしたあと、羞恥心から6日間部屋から出てこなかった。