【d!】大嫌いやねん【2】 (ページ15)

今日:15 hit、昨日:44 hit、合計:108,045 hit

番外編:あの頃の妹ページ15

「はぁ」

同時に吐かれたその言葉とも取れない呟きは、同時に大人数から発せられた。ある者は、恍惚とした表情で。ある者は胃を押さえて。普段なら、トントンと共に顔を顰めるAは今居ない。いや、居るけど居ないのだ。

「……にぃに、どこ？」

ブカブカのAの軍服に身を包んだ幼い少女、Aがそこには居た。グズグズと泣くAをあやしながら、グルッペンはこうなった原因を考える。

「そういや、俺Aに変なキノコ食わせてもうたわ」

後頭部を掻きむしってゾムが言う。

「俺もAちゃんに試作品のよう分からへん頭痛薬あげてもうた」

口を押さえて鬱先生が言う。

「いや、待てよ。俺も変な狐面の科学者から貰った変な粉、Aにぶっかけてもうた」

シャオロンが青ざめる。原因が多すぎる。トントンはとりあえず今の3人に拳を飛ばして、正座させる。

「あぁ……Aや。小さいAやぁ!!!」

コネシマは感極まって涙を流す。さて、本当に手が付けられないのは、実兄では無く、夫の方だった。

ただでさえAを愛してやまない彼。ショッピは……

“ロリコン”だ。

「A。今すぐ俺の部屋行こう。気持ちええことするだけやから」

鼻血を出しながらショッピが言う。

「お前、幼女になんてこと言うねん！」

チーノがAを抱き抱えてショッピから遠ざける。危険すぎる。Aの記憶は体と共に戻ってしまっている。幼い頃から、精神力は一丁前だったらしく、泣きながらも、状況理解はなんとなくしていた。

「チーノぉ!!!離せ!!ソイツは俺の女や！」

「嫌や！」

チーノは、グルッペンにAを預けて逃げ出した。グルンとショッピの首が回転してグルッペンの方をむく。まるでホラー映画のようなその光景に、グルッペンは小さな悲鳴を漏らす。

「……逃げろ、グルッペン」

幼きAを守るためにコネシマがグルッペンを守る。

「……コネシマさん。今日こそ殺します。こんなこともう二度と無いかもしれへん。そしたら……俺は……悔いが残ってまう」

「カッコつけてもキモイことに変わりないで」

食堂にて、ショッピ対コネシマのガチバトルが始まった。一方、グルッペンは、Aを総統室に連れて行った。

「にぃに……」

「……オスマン。お前こういうの得意だろ」

「んな訳ないやん。トントンやれや」

「はぁ？童貞には無理ですぅ！ロボロやれや」

「俺もやっちゅうねん」

「じゃあ、私も無理ですよ」

「なぁなぁ、俺は～？」