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「大先生」
カーテン越しに彼に話しかける。
「なぁに？」
帰ってきた声はとても穏やかで優しい。冷めきった人を人とも思わないようなあの声とは違う。
「薬、ある？」
「あるけど、今のAちゃんには渡せない。なんでか分かる？」
「O D？」
「うん。俺が上手く調節するから、Aちゃんは心配せんでええよ。……こうなった原因、分かる？」
「……ううん」
流石に言えない。『君達』が原因だなんて。そう思っていると、医務室の扉が力強くノックされた。
「入るで」
トントンの声と複数の足音。気配からして、グルッペンとオスマンも居る。私は必死に布団を被って縮こまる。彼らはカーテンを開けずに、その前で止まってくれた。
「大丈夫か？」
グルッペンの低い声。私の有罪を確定させた低い声。
「ごめん……話せない、かも」
「っ、そうか。仕事にはしばらく復帰しなくていい。今はゆっくり体を休めろ。男と同じ仕事量を要求しすぎたな。体力も違うのに。すまない」
違う。グルッペンはこんなに優しくない。もっともっと冷酷で、救いの手を腕ごと切り落とすような無慈悲な男。なのに、なんでこんなに慈しむような声で言うの？
「A。見舞いにケーキ持ってきたから。食えたら食って。好きやろ？」
オスマンも。耳をもぎ取るのが好きな奴じゃん。
「書類は他の奴に回しとくで」
「……あ、り、がと」
何とか声を振り絞って彼らに礼を言う。辛い、辛いなぁ。
ようやく死ねたのに。なんで私は生きているんだろう。もう楽にして欲しい。
「じゃあな」
気配が去っていく。私は改めて自分の体を見下ろした。指は全て揃っているし、アキレス腱も機能している。服を捲っても、忌々しい国章は焼き付けられていない。耳もある。それに今の私は恐らく処女だろう。
お腹空いたな。
食堂行こう。ベッドを降りて、カーテンを開けると珍しく真面目に書類仕事をしている大先生のうし後ろ姿が。
気配を消して医務室を出ていこうとしたら、大先生に止められる。
「Aちゃ〜ん？どこ行こうとしてんのー？」
「食堂。お腹空いちゃって」
芋と話していると思い込んで会話をする。
「今のAちゃん危険やし、俺が持って来たる。医務室でええ子に待っとってな。……つかAちゃん気配消すの下手なった？」
あの地獄の30日は、軍人としての私も奪ってしまったらしい。
私は諜報部隊、いわばスパイ活動が主な仕事。それなのに、気配を察知されるとは。鈍ったものだ。
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みりんみそ - 性 癖が、、ワイのド性 癖、、、！！？？ (12月28日 3時) (
レス) @page35 id: 689708648d (このIDを非表示/違反報告)
白米の無い弁当 - やっべ何回でも見返せる(5回目くらい) (12月24日 0時) (レス) @page41 id: b86b104ca2 (このIDを非表示/違反報告)
あ - あ (11月16日 16時) (レス) id: 5439c0f871 (このIDを非表示/違反報告)
みるく亭 - アッアッアッアッ（過呼吸） 好き…！！ (11月9日 13時) (レス) @page35 id: 78d03dd0b2 (このIDを非表示/違反報告)
セネリオ - さいっこうでした…！！！あまりこういうのは好きじゃなかったけど、最後もハッピーエンドで終わって、めっちゃ良かったです！！！応援してます！ (2023年1月14日 9時) (レス) @page35 id: bb7bb5003e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひよこの子
| 作者ホームページ：
作成日時：2022年10月26日 19時
