23 ページ23
「しゃ、しゃお」
「喋ってええなんて言うてへんけど」
「シャオロン！！！やめてよ」
「お願いの仕方は？」
「ッ……お願いします。シャオロン様」
「うん、ええよ。可愛ええなぁ。上手に出来たな。偉いな〜」
シュルシュルと縄を解いたシャオロンは私の頭を撫でて褒める。シャオロンのベッドに腰掛けて、彼の肩に寄りかかる。
「A。俺らの何が怖いの？」
「言えないよ」
「……つまんな」
「シャオロン。……この先何があっても、私を信じてくれる？」
彼の顔を見上げて、その黄色い目を見つめる。フッと優しく笑ったシャオロンは、コツンと額と額を合わせた。顔が間近で、ドキッとする。
「何を当たり前な事言うとんの。絶対、ぜーったいAを信じるで。俺らに裏切られるのが怖いん？」
「……うん。約束だよ、シャオロン。絶対って、言ったもん」
ギュッとシャオロンの服を掴む。どうせ、こんな約束忘れて『あの日』が来たら同じ目に遭うのは分かっている。それでも、希望を持たずには居られなかった。
ちゃっちい保険でいい。信じてくれるって、その言葉が心の支えになるから。
「裏庭行っちゃダメ？」
「ええんちゃう？」
「行きたい」
「ん、行こか」
部屋を出たシャオロンは、私に肩車をしてきた。一気に視線が高くなり、不安定で彼の頭を掴む。
「行くぞー!!!A〜!!」
「きゃ、走らないで、落ちちゃう！聞いてる？シャオロン〜」
情けな声をあげて彼の頭をぺちぺち叩くが、彼は物凄い速さで走っていく。でも流石戦闘部隊の隊長だ。息切れはしていないし、安定感がある。私の足を掴む手が、絶対落とすものかと強く握っている。
「はぁはぁ……」
「なんで乗ってただけのお前が息切れてんねん」
「緊張、恐怖、その他諸々」
「なんやそれ」
吹き出して笑ったシャオロンは私を地面に下ろした。裏庭には、沢山の動物が居る。その中にわ私が面倒を見ている馬が一頭いる。
「外道丸」
彼の本来の飼い主はひとらんらん。現在遠い国でお仕事中。いつ帰ってくるかも分からない。国を発つ時、彼は私に言ったんだ。
『A。俺、いつ帰って来れるか分からないからさ、外道丸の面倒頼んだ！』
『らんらん。無事に帰ってきてね』
『うん。またね』
結局、その『また』はこ来なかったけど。私が死んでしまったから、前世では会えなかった。あの後外道丸は誰かに面倒見て貰えたのかな。
「俺、トイレ」
「うん。外道丸〜毛並みツヤツヤだね〜」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1344人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みりんみそ - 性 癖が、、ワイのド性 癖、、、！！？？ (12月28日 3時) (
レス) @page35 id: 689708648d (このIDを非表示/違反報告)
白米の無い弁当 - やっべ何回でも見返せる(5回目くらい) (12月24日 0時) (レス) @page41 id: b86b104ca2 (このIDを非表示/違反報告)
あ - あ (11月16日 16時) (レス) id: 5439c0f871 (このIDを非表示/違反報告)
みるく亭 - アッアッアッアッ（過呼吸） 好き…！！ (11月9日 13時) (レス) @page35 id: 78d03dd0b2 (このIDを非表示/違反報告)
セネリオ - さいっこうでした…！！！あまりこういうのは好きじゃなかったけど、最後もハッピーエンドで終わって、めっちゃ良かったです！！！応援してます！ (2023年1月14日 9時) (レス) @page35 id: bb7bb5003e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひよこの子
| 作者ホームページ：
作成日時：2022年10月26日 19時
