【d!】無感情ナース2 (ページ9)

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鬱先生は、草むらに行くよう指示する。トントンがAを草むらに連れていくと、鬱先生はAの口内に指を突っ込んだ。

「っ、ゲホッ、エ゛ッ」

Aの胃から逆流してきたのは、胃液とそれに混じる紫色の液体。鬱先生は、吐いた後すぐに、Aに解毒剤を飲ませた。

「……何も食べていなくて良かったです。食べていたら、今頃ここら辺は私の吐瀉物の臭いで充満してたでしょうから」

「意識戻して第一声がそれでええんか」

コネシマから水を受け取ったAは、それで口をゆすいで草むらに吐き出した。

「ふぅ、ありがとうございました。あと数分遅れていたら、帰らぬ人になってましたね」

冗談で言っているのか、本気で言っているのか判別しずらく、皆は苦笑いで流した。トントンは、Aの前に立つと、徐ろに両頬を掴んで、左右に引き伸ばした。

「痛いです」

「餅みたいや」

「食いたなるやんけ」

ショッピとコネシマの会話を横耳に、トントンは一言、阿呆、と漏らした。

「阿呆とは酷いですね」

「もし……空腹関係無しに死んどったらどないするつもりやねん」

「何となく、死なない気がしました」

トントンはもう一度だけ阿呆、と呟いて倉庫に背を向けた。

「帰ろか」

「せやな」

「腹減ったわ～」

基地へ戻ると、Aは幹部に囲まれた。元気だと言うと、皆は安心したように仕事に戻って行く。

「さてと、大変やったな、Aちゃん」

「ええ」

「明日やで。地獄は」

「ええ」

明日は健康診断。鬱先生は、やけ酒付き合って、とAに頼み込み、自室にAを招き入れた。

「乾杯」

カツンとグラスを合わせて、グイッと飲む。

今宵は満月。鬱先生の部屋の窓からはよく満月が見える。

「月が綺麗ですね、なんて言う告白紛いのことは言いたないけど、今夜はホンマに綺麗な月やねぇ」

「そうですね」

鬱先生は、いい雰囲気だと内心ガッツポーズをした。Aからの自分の評価が高くないことを知っている鬱先生は、どうにかして良く見せようと必死なのだ。

「Aちゃん、火照った顔もかわ」

「大先生居る？」

「……何？」

こめかみに青筋を立てた鬱先生が、ドアを開けると、オスマンが立っていた。

「酒臭いな。あっ、Aやん。ふーん、酒飲ませて襲う気やな」

「ちゃうわ。で、なんの用や」

「ん？借りてたDVD返そうかと」

オスマンが取り出したビデオは、中々理解されないであろうジャンルのビデオ。

「Aちゃんちゃうねん」