【d!】無感情ナース2 (ページ7)

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「兄？……ああ、巻き込まれたのか？爆発に」

「あの事件の生き残りが言っていた。私の兄が惨い拷問を受けた後、施設の爆発で死んだと」

「A……」

トントンは、初めて見るAの怒りに、言葉を失った。Aは、ギリッと歯ぎしりをして、男を睨みつけた。

「そう睨むなよ。そうだ、折角幹部を捕まえたんだし、ゲームをしよう」

そう言うと、男は周りで見ている仲間に合図をした。すると、仲間たちはすぐに動いて、Aとトントンの前に赤いボタンを用意した。

怪訝な顔でトントンが敵の顔を見回す。敵のボスと思われる男は、ポケットから1粒の飴を出した。

「早押しに勝った奴が、この飴を食べれる。……毒入りだけどな。1人は食べずに済むが、もう1人は食わされる。お前らの人間性が顕になるな。ボタンを押さなかった奴は、基地に返してやるよ。だが、2人とも押さなかった場合、この銃で撃つ」

男の説明を聞いて、Aは男を近くに呼んだ。

「……トントンさんに筋弛緩剤を飲ませて下さい」

「っはは、いいのか？死ぬぞ？」

「構いません。我々国に必要なのは、彼の方です」

意外とすんなり受け入れた男は、すぐに筋弛緩剤を用意させた。

手術などでは必要不可欠の筋弛緩剤。

「ほら、茶だ。飲め」

「……毒入りちゃうやろな」

トントンが聞くと、Aが自分の指示だと答えた。

「A、なんか企んどる？」

「いいえ、何も」

トントンは、疑いつつも茶を口に含んだ。違和感はあったようで、一瞬顔を顰めていた。

「……さて、準備はOKだな。俺の銃が合図だ」

男は、銃口を上に向けて構えた。

「待て!!動かへん。手が」

「トントンさん。大丈夫ですよ」

何が大丈夫なのだろうか。無慈悲に鳴らされた銃声。Aはすぐにボタンを押した。

「はい、嬢ちゃんの勝ち。ご褒美の飴だ。この毒、効くのに1時間かかるんだよ。……1時間、恐怖を味わいながら死んでくれ」

「A!?やっぱりお前!!!」

「トントンさん。私、ご飯食べてないんです。……待ってますよ、2時間」

「……そういう事か。分かった、2時間な」

「仲間連れてきても無駄だぞ。1時間後にはコイツはもう死んでんだからよ」

解放されたトントンは、周りに銃を向けられながら、倉庫を出た。

「ばあか。1時間っつったろ。ナースなのにそんなことも分からねぇのか」

男が嘲笑うと、Aはふふっと余裕の笑みを浮かべた。

「彼なら、2時間もかからないでしょう」

「恐怖で頭が狂ったか」