【d!】無感情ナース2 (ページ45)

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自室に戻ったAは、グッスリと眠ることが出来た。翌朝も、スッキリとした気持ちで起きれて、Aどこか嬉しそうだった。

久しぶりに医務室へ行くと、鬱先生が菓子パンを食べながら、書類を作成していた。

「おはようございます、鬱先生」

「おはよぉ、Aちゃん」

Aに気付いた鬱先生は、ギュウっと思い切りAを抱き締めた。いつもなら、振りほどいて、睥睨するのだが、今日は大人しく抱きつかれておいた。

「なんだか、安心しますね」

「良かった。今一瞬ドキってしたわ。……Aちゃんさぁ、ちっちゃいし細いから、強く抱き締めたらそのまま骨バキバキにいきそうなんやもん」

「それはそれで面白そうですね」

冷蔵庫のエナジーゼリーを一瞬で食べたAは、パソコンの電源を入れる。起動するまでの時間、Aはコーヒーを沸かすことにした。

「そうだ、Aちゃん」

「はい」

「ナース研修会、開かれるらしいで。我々国で。行けば？」

「……そんな暇な時間ありません」

「とか言って、ホンマはあの空間が嫌なだけやろ」

図星だったようで、Aはピクっと眉を動かした。ナース研修会では毎回、Aが出る度に皆の前に立たされて、ナースとしてのノウハウを伝えさせられる。それが嫌で嫌ではAは数年前から参加を拒否し続けている。

その結果、鬱先生のところにまで連絡が来るようになってしまったのだ。

「今日は、訓練場で過度な運動をしている人が居ないかチェックする仕事があるので。今月の怪我人病人、薬の残り、来月の予算、今月の残高、お願いしますね」

いつもはAがやっている仕事を丸々鬱先生に投げたAは、鬱先生の雄叫びが聞こえる前にサッサと医務室から逃げ出した。

正直、訓練場にはあまり行きたくない。あそこに顔を出す度に、訓練に誘われて死にかけるからだ。

渡り廊下を渡り、訓練場の扉を開けると、予想通り気づいた隊長達が走ってくる。今日は、空挺部隊が外で戦闘機を使った訓練をしてるので、チーノは不在だ。代わりに、トントンが来ていた。

「今日は、日陰でおと大人しく皆さんの訓練を見ているだけですので、お構いなく……」

バインダーをヒラヒラとさせて、Aは日陰に避難する。不満そうな幹部達は、Aを追いかけて、1戦相手してくれなど無茶を言い出す。

「私と皆さんが1戦やったら、確実に死ぬの分かりますかね」

遠い目をして、Aは記録を取り始めた。