【d!】無感情ナース2 (ページ41)

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殴られた頬が痛い。押さえつけられている四肢が痛い。ベタベタと体を撫で回す手が気持ち悪い。

「男のフリしてやって来たのに、残念だったな」

「お前、今夜のこと誰にも言うなよ？もし漏らすんだったら、今すぐ今日の話は白紙にするぞ」

「っ!!」

そして、男たちの手が下半身へと伸びる。身を捩って抵抗するが、また殴られる。今度は顔だけでは無く、腹や腰に。

「あったま悪ぃな」

そう笑った時だった。部屋の扉が勢いよく蹴破られた。

(ゾムさん!!オスマンさん!!)

暗くて顔は見えない。だが、空気だけで分かる。死ぬほど怒っていることが。男達に武器を持たせる暇を与えずに、ゾムは全員を一掃した。血の匂いが充満する室内で、オスマンは冷めた目で死体を見ながら、震えるAに駆け寄った。

「A!?」

「……っ、は」

安心からか、一気にAの目から涙が零れてきた。それと同時に、ヒュっと掠れた声が喉から不規則に鳴る。それが、過呼吸だと気づくまで5秒かかった。

「ゾム!!袋持ってこい!!」

「まっ、ゾ、さ、」

「!?」

Aは、一生懸命首を振って、紙袋は要らないと言った。Aは、自分で軽く息を吸って、10秒ほど吐いた。解けたバスローブを着せて貰ったAは、オスマンに礼を言いながら、呼吸を整える。

ゾムはどうすればいいのか分からず、ただひたすらにAの背中を摩っていた。10分程すると、Aの呼吸が落ち着いてきた。

「すみません……ご迷惑おかけしました」

「ごめんなぁ、A。気付かんくて。俺、隣の部屋に居ったのに……」

「早く気づいてくれてありがとうございます。」

布団の端を掴んで、涙を拭って言うAに、オスマンとゾムはもう一度落ち着かせるように体を摩る。先程まで男に触られていて気持ち悪さ感じていたが、今は不思議と安心感があった。

「初めて人を、怖いと思いました」

「A……大丈夫、もう全員死んだで」

「俺から、書記長殿に話をつける。この国との同盟の話も破棄する。グルッペンにも話す。だから、Aは何も心配せんでええ」

頼もしい2人の言葉に、Aは頷き、水を飲む。じゃあ、とゾム達が部屋を出ようとした時、何かに引っ張られた。

「ん？」

見ると、Aの手が2人の服の袖を掴んでいた。ふっと優しく笑った2人は、部屋の扉を閉めて、Aの部屋のソファに座った。

「怖いんなら、一緒に寝よか？」

「……お願いします」

愛おしそうに目を細め、2人はソファに寝転がった。