【d!】無感情ナース2 (ページ35)

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決戦の日は来た。我々国軍が基地を出る数時間前に、グルッペンは開戦宣言と共に、S国に宣戦布告を行った。

「1週間で落ちるんちゃう？」

「それくらいですかね」

救護班のテント内で話す2人。早速戦いの火蓋は切って落とされたようで、銃声が聞こえる。普段とは違い、前線に近いため、より大きく聞こえる。救護班のテントの周りは、後方で待機している部隊が守っている。空挺部隊も数機テント上空を回っている。

「鬱さん!!そろそろ第1陣来ますよ」

救護班の1人がテント全体に聞こえる声で言う。りょーかい、と軽いノリで答えた鬱先生は、手術用器具を手に取る。

「Aちゃんが来てから大分楽になったわ。指示せんでも動いてくれるし」

「それは良かったです。おや、来ましたね」

30人程テントに運ばれてきた。そのうち重傷者は4人。簡単に捌ける人数なので、鬱先生と救護班リーダー、2人で手術を開始する。

「Aさーん、包帯足りてないです」

「はい、今行きます」

「待って、Aちゃん。糸ある?」

「ありますよ」

バタバタとテントを駆けるA。再び鬱先生とリーダーの間に座り、2人の手術を手伝う。

「相変わらず綺麗ですね」

「ありがと」

普段からは想像できないようなう美しい手術。今まで見たことが無い。Aは惚れ惚れするような目で、うっとりと見ていた。

救護班リーダーも、鬱先生の元で長年働いているだけあって、鬱先生程ではないにしろ、そこらの医者より余程上手い。

「総統閣下には、交代でと言われましたが、無理そうですね」

「せやな」

時が経つにつれ、人が増えていく。鬱先生も早いペースで終わらせていくが、1人終わらせてもまた1人とキリがない。

「戦場はどんな感じですか」

比較的軽傷の兵士に聞くと、あと少しです。と希望の見える回答が来た。良かった、と息を着いた時、焦げ付いた匂いが鼻腔を通った。バッとテントの入口を見ると、全身から血を流すチーノの姿があった。

「チーノさん!!」

歩くのが精一杯な様子のチーノに肩を貸し、Aは急いで鬱先生の元へ向かった。丁度、縫合を終えたところのようだった。

「鬱先生!!チーノさんが重傷です。恐らく、墜落したのではないでしょうか」

チーノの酷い有様を見て、鬱先生は絶句する。しかし、すぐに元に戻って、チーノを横に寝かせる。

「頑張ったな、すぐ治したるから。タオルでも噛んで我慢せえよ」

後輩を労い、チーノの眼鏡を外す鬱先生。

「大先生……ごめん、」