【d!】無感情ナース2 (ページ34)

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「お待たせしてしまい申し訳ございません」

全力で走ってきたのか、息切れが凄い。防音性の鉄扉を閉めて、椅子に座ったA。全員が揃ったのを確認し、グルッペンが咳払いをする。

「これより、対S国戦の作戦会議を行う。エーミール、後は頼む」

グルッペンから呼ばれたエーミールは、ゆっくりと立ち上がって、皆の前に立った。その表情を見て、グルッペンは満足そうに笑う。

いつもは端の方でニコニコと会話を聞いているエーミールだが、こういう作戦会議などの場では、彼が取り仕切る。

彼の役職は参謀長。参謀本部でまとめた作戦を、各部隊長に報告をし、異議やもっと良い意見を募る。

「今回の作戦は、我が国が得意とする電撃戦で早期決着をします。早い段階で、S国陣地を突破し、相手の動きを封じます。その後速やかに包囲する。敵陣に穴を空けるのは、ゾムさん率いる1番隊を中心として、歩兵で穴を空けます。その後は後々指示を出します。私の作戦通りに行けば、突破できる穴ですから」

すると、机に乗っけていた足を下ろして、シャオロンがエーミールに問う。

「俺らはさぁ、エミさんとグルッペンの指示は必ず従うし、信じとる。けど、今回は毒ガス使われるんやろ？歩兵で突破して平気なん？……M国での悲劇を繰り返すつもりなん？」

M国での悲劇、そう聞いてAはギュッと拳を握った。それを見たシャオロンは、大丈夫、Aを責めとる訳ちゃうから、と軽くデコピンをする。

「S国の毒ガスの情報は、我が国の優秀なスパイのおかげで、こちらに届いてます。毒ガス……というより、単なる催涙ガスを毒ガスと呼んでいるだけらしいですよ」

「……なんやそれ」

呆れたように、背もたれに寄りかかるシャオロン。意義は無いようなので、この作戦で行くらしい。

「Aさん。後で、大先生にも伝えて欲しいんですけど、救護班は、なるべく前線寄りで居て欲しいです」

「分かりました。作戦の内容も伝えておきますね。その方が、理由が伝わりやすいでしょう」

「っははは、ホンマに頭の回る人やわ。お願いします」

エーミールが席に戻ると、グルッペンが、じゃあ、終わるか。と軽く会議を終わらせた。ゾロゾロと部屋を出る皆。

グルッペンは、エーミールの背中を叩いて一言。

「お前が始まる前に、笑うってことは、今回も簡単に終わる戦争か」

「さあ？てか、なんでそういうとこ見てんの!?キモイわ」

「おまっ、俺総統やぞ」