【d!】無感情ナース2 (ページ29)

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突然呼び出された幹部達は、何が起こるのかという表情でやって来た。

「全員揃ったな。喜べ、東からひとらんが来るぞ」

グルッペンの言葉に、皆がワッと盛り上がった。

「どちら様ですか」

「ああ、そうか。Aは知らないんだったな、アイツのこと」

すると、珍しくオスマンが前に出て説明した。

「俺が昔、ニホンっちゅう国に、外交に行った時に会った奴や。……当時のニホンは、他の国との関わりを絶っとった。追い返されること覚悟で行ったら、快く受け入れてくれて、我々国との外交も上手くいった。……今じゃ友好国の1つやで」

友を懐かしむように、目を細めたオスマン。

「楽しみやなぁ」

「また手合わせしたいわ。アイツのニホン刀かっこええんよなぁ」

本当に、心から会いたそうに言う幹部を見て、Aも興味が湧いた。曲者揃いの我々国軍の幹部が、会いたいと言う人物が。

あのオスマンが、心を踊らせる人物が。

「会ってみたいですね、ひとらんさん」

「げどちゃん、ニホンの土産持ってきてくれへんかなぁ」

鬱先生は言うと、図々しいわ、とオスマンに爪先を踏まれる。解散していいぞ、とグルッペンが指示すると、皆はゾロゾロと部屋を出ていった。

「あ、広間で宴の準備を頼む。アイツ飲むだろ」

「確かに、行こか」

皆が出て行く中、総統室には菓子を食べ終わっていないAと、書類の催促をしに来たトントン、万年筆をへし折ろうとするグルッペンが残った。

「オスマンさんがあんなにテンション高いのも珍しいですね」

「仲良いからな。定期的に連絡を取っているらしいし。でも、ひとらんが来てからもう2年経つんやな」

「最後に来たの2年前か！はえー、時が経つのは早いもんやな。そしてグルさん、書類終わらせろや。あくしろよ」

そんな会話を横耳に、Aはクッキーを食べ終えた。ごちそうさまでした、とグルッペンに皿を渡し、暖炉の前に移動する。

「私のことはお気になさらず」

前まではこの程度の寒さどうにでもなったが、我々国に慣れてしまうと、どうにもならなくなった。

「A、寒いなら幹部棟1階の物置からストーブ持ってけばええやん」

「あるなら早く言ってくださいよ…」

重い腰をあげたAは、腕を擦りながら総統室を出た。

幹部棟1階は、フリースペースや、特別会議室、物置などがある。物置に入ったAは、中を漁りながら、ストーブを探した。

時々、危険物が視界に入るが、そういう場所だと飲み込んでスルーしている。