【d!】無感情ナース2 (ページ27)

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「はぁ、さっっむ」

「連れて来るんならせめて着替えさせろや」

「……寒い」

口々に文句を言うオスマン達は、個性溢れる雪だるまを見て、口を閉ざした。どこか幹部らに似ているそれは、誰がどの雪だるまを作ったかは一目瞭然であった。

「手袋なら貸したるから、お前らも作れ」

ズイっとコネシマが水色の手袋を突き出す。えぇ……と顔を顰めて、愛おしそうに先程まで居た部屋を見上げた鬱先生は、必死に目で嫌だと訴えた。しかし、コネシマという男に情は通じない。

「Aが、やりたいんやって」

そんなことを言った記憶はないが、確かに皆の分の雪だるまは見てみたい。Aは自分が言ったということにして、シャオロンの言葉に同意するように頷いた。

「それなら、しゃあないな」

意外にも、一番最初に手袋を受け取ったのはオスマンだった。近くに居たショッピから薄紫色の手袋を貸してもらい、それをはめてしゃがみこむ。

雪に触れると、細い目をうっすら開けて、儚いな、と呟く。

「……Aちゃんからの頼みとあらば」

口ではそう言いつつも、渋々と言った顔でコネシマの手袋をはめた鬱先生は、イケメンな雪だるま作ったるわ、と瞬時にやる気になった。

「ゾムさん、手袋貸してくれますか」

「もちろん。なんなら手伝ったろか？」

「壊される未来が見えるので、遠慮するわ」

高い笑い声を響かせたエーミールは、雪をかき集めて、雪だるまの初歩となる小さな雪玉を作る。

30分ほどすると、全ての雪だるまが完成した。10体を超える雪だるまが並ぶ様は、軍隊が進軍しているようにも見える。

「可愛い……!!」

トントンの雪だるまの前に作られている、小さな豚を見てAは声を漏らした。

「可愛ええやろ」

Aの隣にしゃがんだトントンは、自慢げに話す。

「いつかは……溶けてしまうんですね」

「うん」

クルッと振り返ったAは、ここ心の底から言った。

「皆さん、ありがとうございました。私、雪だるまを作ってみたかったので、いい思い出になりました」

本当に嬉しそうに笑うAに、ニヤッとした笑みを浮かべたグルッペンは、隣に立っているコネシマに耳打ちをした。ええな、とグルッペンと同じ表情をしたコネシマは、Aに思い切り抱きついた。

「うわ、」

よろけた体は重力に従い、雪に倒れる。続々と幹部たちが、その上に重なっていく。

何人もの大男に抱き締められながら倒れているAは、苦しそうに、でも嬉しそうに大声で笑った。