【d!】無感情ナース2 (ページ26)

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Aは、幼少期から雪だるまに憧れていた。1人で作ろうにも、どうすればいいのか分からない。兄はいつもロボロと遊んでいたので、聞くに聞けなかった。親は、子供に興味が無い。

友達も居たが、外遊びは好きじゃなかった。

今では、雪だるまの作り方くらい分かるようになった。子供らしいと笑われてもいいから、作ってみたい。

せっせと雪だるまを作っていると、いつの間にか雪合戦をしていた皆の声が静かになった。内容は聞こえないが、ヒソヒソと話しているのは聞こえる。

「A、何してんの」

部屋からグルッペンを引きずり出して、雪に埋めたトントンが聞く。ハッとしてAが顔をあげると、皆がAを囲んでいた。ニコニコと子を見守るような顔をして。

「……雪だるま……作ってました」

「俺、今なら死ねると思う」

心臓を片手で押さえて言うゾムに、皆が同じ格好をして同意する。

「その雪だるま、Aに似てるな」

グルッペンが言うと、Aはジッと雪だるまを見つめて、首を傾げる。

「私、こんなに馬鹿面してますかね」

ちゃうちゃう、と手を左右に振って言ったグルッペンは、雰囲気が似てるんだ、と柔らかく笑った。

「確かに、儚い感じがAそっくりや」

コネシマが手を打って言う。

「折角やし、幹部全員分の雪だるま作らへん？」

「ええな、おもろそうや」

キラッと目を輝かせたゾムは、トントンの提案を聞いた瞬間、どこかへ消えてしまった。大方、鬱先生達の部屋に行って、連れてくるつもりだろう。可哀想に。

「……笑わないんですね」

「なんで？」

Aの呟きを拾ったロボロが心底不思議そうに言う。

「大人になっても雪だるまを作ること……」

「別におかしいことでもないで。俺らなんておっさんになっても、仲間割れして殺し合っとるからな」

「っふふ、それもそうですね」

花が舞うような笑顔で言ったA。その笑顔に、トントンとロボロは天を見上げ、他は可愛ええ顔して笑うやん、とAを褒め、撫でる。

「なっ、やめ」

恥ずかしそうに頬を桃色に染めたAは、頭を振る。

「大人しく撫でられとけ」

グルッペンがAの肩に手を回して言うと、はい……とか細い声で答えて、Aは大人しくなった。

「Aの最大の弱点は、グルさんかもしれんな」

眼鏡をクイッと上げて言うトントンに、お前もやろ、と返すグルッペン。

「逆にお前の弱点は俺らやな」

鬱先生達を連れてきたゾムが笑って言う。

「当たり前だ」