【d!】無感情ナース2 (ページ25)

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「朝……か」

掠れた声で呟き、布団から起き上がったAは、ベッドを整えて大きく伸びをした。紫色のカーテンを開けると、朝日が部屋に差し込み、外の景色が見える。

丁度、Aの部屋からは、中庭が見える。いつもと変わらない景色だと思っていたAは、窓の外を見て、驚いた後、口角をあげた。

「雪……!!」

M国では毎日のように見ていた。今日は、グルッペンから休みを貰っていたため、ゆっくりと部屋で読書でもしようかと考えていたAだが、久しぶりの雪に気分が舞い上がり、外へ出る支度を始めた。

黒のダウンジャケットを来て、紺色の手袋をしたAは、部屋を出た。早歩きで階段を下りていると、喫煙室から鬱先生とエーミールが出てきた。

「あっ、Aちゃん！おはよう～。可愛いね、どこ行くん？」

「おはようございます。Aさん」

キュッと足を止めたAは、ちょっと中庭へ、とだけ言うと階段を駆け下りていった。

幹部棟の玄関で靴を履き替えていると、後ろからゾムが近寄ってきた。

「わわっ、ゾムさん。どうしたんです？」

「久しぶりに雪降ったし、幹部で雪合戦するかっちゅう話になってん。俺が1番に雪にダイブするから、Aは俺の後にやれよ」

「……分かりました」

ダイブする気は毛頭ないが、話す時間も勿体ないと短く答えた。ゾムは満足したように頷くと、冷たい雪の上に思い切りダイブした。

呆れ顔でAが横を通り過ぎると、何者かに背中を押されて、Aも雪に顔面から倒れた。

「なんてことするんですか」

Aが起き上がった下には、綺麗な人型がくっきりとできていた。ムッとしてAが振り返ると、シャオロンが悪い顔をして立っていた。その後ろでは、ロボロが人差し指を口に当てて、シャオロンに近付いている。

「Aの仇ぃ!!」

「どわっ!?」

大の字になった倒れたシャオロンは、手元の雪を丸めて、豪速球をロボロに向かって投げた。

「危なっ、当たったらどないすんねん！」

続々と幹部たちが集まってくる。寒いから出たくないという、エーミールや鬱先生、オスマンやグルッペンは、暖かい部屋で、皆を見守っていた。

「死ねやオラァ!!」

突然始まった雪合戦。Aは巻き込まれないように、中庭の端に逃げた。時折、流れ弾が飛んでくるが、そこは幹部たちが守ってくれているので、Aも安心してしたいことができる。

今日、出てきたのには理由があった。子供の頃から憧れた、雪だるまを作りたいのだ。