【d!】無感情ナース2 (ページ24)

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ある日の晩。我々国の幹部が会議室に集まって話をしていた。皆の顔つきは真剣で、傍から見れば凄く真面目な会議をしているように見えるだろう。だが、この会議の内容は実に下らないものであった。

「最近のA、感情豊かじゃないか？」

「確かに」

そう、この会議にAは居ない。

バン!!と強く机を叩いて立ち上がった鬱先生は、クッと拳を握って天を仰いだ。

「Aちゃん、彼氏出来たんとちゃうか」

認めたくないような悲しそうな声で言うと、静かに椅子に腰を下ろした。

「Aに彼氏……やと!?」

なんだかんだ、皆Aのことは気に入っている。態度こそ無愛想で感情の起伏が無いような女だが、仕事はするし、気が回り、時折見せる笑顔が可愛らしく、美しい。

「最近のAは、よく笑うし、俺らの誘いに乗ってくれる」

「じゃあ、彼氏とか関係ないんじゃ」

エーミールだと言葉は軽く無視され、皆がどんどんAに彼氏が出来たんじゃないかと思わせる素振りをあげていく。

「男に興味無さそうな感じやったのは、彼氏が居ったから？」

ゾムの呟きに、そうやったんか、と勝手にA彼氏居る説を確定にしていく皆。

「確かに、あの容姿で彼氏が居らん方が問題やもんな」

「いや、性格」

「ああ……」

Aがこの会話を聞いていたら、まるで蚤を見るかのような目で一瞥してから、ため息を吐いてどこかへ行くだろう。

「エミさん。このくだらない会議に割く時間が勿体無いとは思わへん？」

オスマンの問いかけに、エーミールだけでは無く、グルッペンも頷いている。

突然コネシマが皆を会議室に招集したかと思えばこれだ。

「最近のAが感情豊かになったのは認めるが、彼氏が関係しとるとは思えへんな。アイツはあんま街行かんし、居るとしたら軍内やけど、兵士たちがAに話しかけても、たどたどしくなって喋れないだろう」

10時になったらグルッペンは会議室を出るつもりだ。それまであと5分。幹部たちの勘違いを、バラエティー感覚で聞いていた。

その時だった。会議室の扉が開いた。

「A!?」

Aは、皆を虫を見るような目で見回した後、口を開いた。

「トントンさん。あなたの部下たちがあなたを探してますよ。早く行ってあげてください。……それと、私に彼氏は居ません。悲しいこと言わせないで貰えます？それでは、おやすみなさい」

バタンと閉まった扉を見て、グルッペン、オスマン、エーミールはやれやれと目を閉じた。