【d!】無感情ナース2 (ページ21)

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「なんかAらしくない理由やな」

「確かに」

「そうですかね」

皆、酒のせいで顔が赤い。呂律も回らなくなって来ていて、会話が成立しているのかも分からない。

「Aってあんま自分について話してくれんよな」

チーノが言うと、ショッピはフンと鼻で笑って、Aの肩に手を回した。

「俺はAの昔話聞いた事あるで」

「は？ずる」

「大して面白い話でも無いですよ。ただ、ちょっと普通じゃないお話をしただけでです」

「なんやこいつ酔っても人格変わらんとか。おもんないなぁ」

淡々と話をするAはいつものAと何ら変わりない。チーノの言葉にAは心外だという表情を浮かべる。

「Aが生きとる理由ってなんなん？夢も無い、感情も薄い、男に興味無いし、娯楽にも興味が無い。なんで……それで生きていられるん？」

ショッピのその言葉には、棘があるようにも聞こえるが、彼にそのつもりは無い。ただ、本当に気になるだけだ。Aの生きる理由が。

カクテルを飲んでいたAは、ふぅ……と色っぽく息を吐いたあと、真面目な顔をして答えた。

「生きたいからじゃダメなんですか？」

「その生きたい理由が気になんねん」

「死ぬより生きていた方がマシだから、と言ったら変に聞こえるかもしれませんけど、生きていたらなんかしらあるじゃないですか。でも、死んだらそこで終わりなんです。今までの苦労や努力も消えていくんです。だから、老衰で死ぬまで私は生きますよ。言ったじゃないですか。私は醜く生にしがみつくためなら何でもするって」

普段よりも饒舌に、自分の生きる理由について語るA。その姿が2人には嬉しくて、笑顔で聞いてしまった。それが気に入れなかったのか、Aは変な話してごめんなさいね、と拗ねてしまった。

「……ショッピ」

「ああ」

2人は言わずとも心で通じあった。可愛い、と。

「まぁまぁ、俺のベリーニでも飲めや」

「あっ、いただきます」

すぐに機嫌が戻ったAは、ショッピのカクテルに口をつける。ムッと口を尖らせたチーノは、俺のも。とAの前に差し出した。

「シャンディガフですか。……っふふ、お酒弱いんですね」

「いや、ゴッドファーザー飲む阿呆に言われた無いわ」

「ホンマに」

ショッピまでそう言うので、Aは飲みます？と片眉を上げて聞いた。

「嫌や」

「多分なぁ、喉通らへんわ」

本気で拒否されたので、少し落ち込むAだった。