【d!】無感情ナース2 (ページ20)

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森を抜けると、我々国の中心、つまりは首都の1番賑わっている街へ着く。ビルに囲まれた場所から、少し離れた所へ行くと、我々国の闇がある。

ガラの悪い輩が集まり、賭け事や人身売買などを行うちょっとした場所。我々国軍も対応しようとしたが、どうも難しい関係が多いようで、そっちに回せる手が足りない状態だ。

「今日は、ここのヤツら見逃したるわ」

チーノが、キョロキョロと辺りを見回しながら言う。ショッピがシュボっとタバコに火をつけたと同時に、チーノが店を発見した。

「ここやで」

「ボロいですね」

「言うたるなや」

外見の悪い店に入ると、ツンとアルコールの匂いがした。

「バーですか」

「正解。格安バー。ただし品質は……」

ショッピが言葉を濁すと、常連らしき男が、悪ぃよ！と元気に答える。若干酒が入っているせいか、頬が赤い。

「チーノ隊長にショッピ隊長！お久しぶりです！」

「マスター！お久っす」

「俺らいつもので。Aはどうする？」

ショッピが聞くと、Aはゴッドファーザーで。と答えた。Aの存在に気づいたマスターは、おぉ!?と手を叩いた。

「なぁんだお2人いい女連れてるじゃないっすか！そこの麗しいお姉様、お名前は？」

「Aです」

ペコッと頭を下げると、マスターは我が一生に一遍の悔いなし!!と叫んで倒れた。

「マスター？」

「発作だ。放っとけ」

カウンター席に座り、ショッピが口を開く。

「A、ゴッドファーザーなんて飲むんや」

「ええ。ルシアンと迷ったんですけど、今日くらい酔っても平気かな、と」

「甘党なん？」

「好きですよ、甘いものは」

ふふっとAが笑うと、周りの客が沸く。ショッピとチーノはうるさい奴らやな、と顔を顰める。

「あっ、来たで」

各々グラスを手に取り乾杯、と小さく合わせた。

「ふはははっ、Aバリ幸せそう」

「ホンマや」

程よく酒が入ってくると、チーノがトロンとした口調で2人に聞く。

「夢とか無いん？」

「なんやお前」

「あるように見えます？」

まともな答えは無かった。

「Aってなんでナースになろうと思ったん？俺らAのこともっと知りたいねん」

ショッピが言うと、チーノも頷く。困ったように頬を掻いたAは、つまらないですよ、と保険をかけてから話し出した。

「昔、そうですねぇ、兄を失った後ですね。途方も無く歩いていたところをあるナースさんに助けて貰って、それからなるとしたらナースくらいしかないなと思い」