【d!】無感情ナース2 (ページ16)

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「あーーー!!!Aやん!!!」

続々とゾムの周りに幹部も集まってきた。今日は、空挺部隊であるチーノもこちらの訓練に参加しているようで、汗を拭って駆け寄ってきた。

「なんでAが居るん？」

最もなコネシマの質問に、ゾムが自信満々に答えた。

「Aが弱いから！」

「……？」

誰1人として理解していない。ゾムの脳内では、Aが弱い＝1人になった時危ない＝訓練させよう。という思考らしい。

「まぁ、Aに訓練させたいならさせればええやん。できるかどうかは別として」

シャオロンが意地の悪い顔をして、何かを企んでいるような声色で言う。Aは、背筋に寒気のようなものが走った気がした。同情したショッピと、他の隊の副隊長達が、Aの肩に手を置く。

「A。いまここに居る幹部の中で、まともなのは俺しか居らん」

(ショッピさんもまともじゃないですよ)

「なんやその目は」

「いえ、なにも」

「なんかあったら俺を頼れ」

「はい、ありがとうございます」

機械のような感情の無い声に、ショッピはペシっとAの後頭部を叩く。

「え」

「じゃあ、とりあえず訓練の前に、訓練場50周するか」

コネシマの言葉を聞いただけでAは吐血しそうになった。訓練場の広さは、半端ではない。普通の野球場よりも広いのだ。それを50周。帰りたい気持ちでいっぱいになったAだが、今逃げても捕まることは明白。肩を落として、他に倣い、走り出した。

「やっぱ、訓練の前に走るのは気持ちええな」

給水しながらゾムが言う。皆も、頷いて各々武器を手に取り、訓練の準備をした。

「あれ、Aは？」

ショッピの言葉で、皆はAが居ないことに気づいた。しかし、シャオロンが髪をかきあげて、爽やかイケメン風に言った。

「Aならあそこで死んでんで」

「!?」

衝撃の事実。シャオロンの指さす方向には、Aが一ノ字を描いて倒れていた。

「Aー!!」

幹部が爆速で近寄ると、Aは弱々しく手を伸ばした。

「総統閣下に伝えてください。短い間、お世話になりました、と」

「A死ぬな！」

次の瞬間、ゾムがAの口を開けさせた。驚く間もなく、コネシマが水をAの口に注いだ。寝ている体制で、水を飲まされたらどうなるか分かるだろう。

「……」

「コネシマさん。A、溺れかけてます」

「なんでや！」

「分かるやろ！」

チーノとショッピは、先輩たちを見て、大きなため息をついた。