【d!】無感情ナース2 (ページ14)

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「寄生虫にそんなの居たよな」

「ハリガネムシですかね」

「そんなのだったな。んで、その病気に罹ったら、人を殺すこと以外の全てのことを放棄するってことか？」

「ええ、捕まえても、ご飯は食べないし、水も飲まないのでどっちにしろ死にます。治療法も無いので、発症した人は例外無く殺さなければなりません。放置したら、マーダーになりかねませんから」

フッとまつ毛を伏せたA。その姿を美しいな、と眺めながらグルッペンはポツリと呟いた。

「恐ろしい病気だな」

「そうですね。……終わりましたよ。どうでしょう身体の方は」

「軽くなった。ありがとう、A」

「お役に立てたようで良かったです」

ふふっと口元を押さえて笑ったA。グルッペンは、Aに椅子に座るよう言った。失礼します、とAが椅子に座ると、グルッペンが淹れたての紅茶を出してくれた。

「ありがとうございます。総統閣下」

「気にするな。俺も飲みたかったし。……あ、ちょっと待て」

カップに口を合わせる前にAはピタッと止まった。グルッペンは、Aの後ろに移動すると、ポイポイと軍服を脱ぎ出した。急に何をしているのだろう、と不思議そうな顔で見つめるAに、グルッペンは慌てる。

「ちょ、わざわざ後ろ行ったんやから見んなや！人の着替えを！」

「あぁ、すみません。配慮が足りなかったです」

正面を向いたAは、紅茶を見下ろした。ずっと待てをくらっているので、冷めそうだなぁと湯気の行先を目で追う。

「すまん、待たせた」

戻ってきたグルッペンは、グレーのTシャツに半ズボンという皆が見たらひっくり返るような格好で戻ってきた。

「いえ」

もう飲んでいいだろうとAが紅茶を飲むと、グルッペンがショックだと言うような顔を浮かべた。

「なんです？」

「珍しいとか、カッコイイとかそういう感想無いん？」

「あー、珍しいですね」

「アカンわ。感情無しに聞いた俺がアホやったわ」

「感情はありますよ。薄いだけで」

「尚更傷つくわ」

そう言うグルッペンだが、半分はAの反応を楽しんでいるだろう。

「おっ、A。見ろ」

興奮したように時計を指差すグルッペン。何かと思い、Aも時計を見る。しかし、時計を見てもAにはサッパリ分からなかった。

「なんです？」

「ピッタリ12時だ」

「子供ですか」

しかし、もう12時。Aはグルッペンに挨拶をして、自室に戻った。